沖縄県本部町の美ら海水族館は4月28日、クロイワトカゲモドキとハタゴイソギンチャクの繁殖に世界で初めて成功したと発表した。29日から同館の「琉球弧の水辺」と「サンゴ礁の小さな生き物」でそれぞれ展示を開始した。(北部報道部・西倉悟朗)

ふ化直後のクロイワトカゲモドキ=国営沖縄記念公園(海洋博公園)・沖縄美ら海水族館提供

水族館生まれのハタゴイソギンチャクとカクレクマノミ=国営沖縄記念公園(海洋博公園)・沖縄美ら海水族館提供

ふ化直後のクロイワトカゲモドキ=国営沖縄記念公園(海洋博公園)・沖縄美ら海水族館提供 水族館生まれのハタゴイソギンチャクとカクレクマノミ=国営沖縄記念公園(海洋博公園)・沖縄美ら海水族館提供

 クロイワトカゲモドキは県の天然記念物で、繁殖に成功したのは主に沖縄本島に生息する固有亜種。夜行性で警戒心が強いことから繁殖に関する研究はこれまでほとんどなかったという。捕獲は禁止されているが、同館が種の保全のため特別な許可を得て捕獲した個体5匹を親として飼育。交尾、産卵し、2匹が昨年10月にふ化した。

 同館海獣課の山﨑啓主任は「ふ化に必要な条件の一部が明らかになったことで、自然環境下で繁殖地となり得る場所をこれまでより具体的に特定し、保全できるようになるかもしれない」と期待した。

 ハタゴイソギンチャクはインド洋から西太平洋のサンゴ礁域に広く分布し、日本では奄美諸島以南に生息する。直径50センチほどに成長する大型のイソギンチャクで、カクレクマノミのすみかになるという。鑑賞用として人気だが、雌雄の判別が難しく、これまでは繁殖技術が確立されていなかった。

 同館は細い注射針で同種の組織を採取し雌雄を判別することで2020年~21年に産卵を確認。その卵から、稚イソギンチャクにまで成長させることに成功したという。

 同館魚類サンゴ礁展示係の松﨑章平係長は、同種は乱獲による個体数の減少が危惧されているとした上で「今後繁殖の精度を高めることで、野外からの採取をしなくても水族館で継続的に展示ができるようになるかもしれない。また将来的に技術が普及し鑑賞用が養殖に置き換われば、乱獲防止にもつながるかもしれない」と話した。

 同館は希少種保全の実績が認められ、4月11日付で「希少種保全動植物園等」に県内で初めて認定された。

 ハタゴイソギンチャクの産卵などの動画が視聴できるURLは

https://youtu.be/EBzRdmmJz48