岸信夫防衛相とオースティン国防長官による日米防衛相会談が米国で開かれた。

 会談後、岸防衛相は、米軍普天間飛行場の辺野古移設を含めた米軍再編計画について「引き続き日米で緊密に協力していく」ことで一致したと述べた。

 復帰50年を迎える沖縄の負担軽減についても「一層加速させていく」ことを確認したという。

 日米両政府はこれまで、首脳会談や閣僚級の会談(2プラス2)のたびに、「辺野古移設」と「負担軽減」を、切り離せない一対の政策として語ってきた。

 しかし、どのようにして負担軽減を図るのか。沖縄側が一番聞きたい具体策への言及は、今回もなかった。

 そもそも日米首脳が26年前に合意したのは、移設条件付きの「5~7年以内の全面返還」であり、「辺野古移設」ではなかった。

 海を埋め立て新たな場所に、これまでにない機能を持つ新基地を建設する。米軍はその案を評価し受け入れた。

 だが、市民投票でも県民投票でも県知事選でも、賛同は得られなかった。

 本来の政策目的である「基地の過重負担の解消」にも、「一日も早い普天間飛行場の危険性除去」にも、反していたからだ。

 「復帰50年」の節目の年に何よりも求められるのは、現状打開につながる具体策を提示することだ。

 今月下旬に開かれる岸田文雄首相、バイデン大統領の日米首脳会談で、本気で取り組む意思を示してもらいたい。

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 会談でオースティン氏は日本防衛に関し「核と通常兵器を含むあらゆる軍事能力による拡大抑止への決意を再確認する」と明言した。

 ロシアは核使用をちらつかせてNATO諸国を威嚇し、戦車やミサイルでウクライナ住民の暮らしの場を破壊し尽くす。その映像が連日、茶の間に流れ、人々の不安をかき立てている。

 機能停止状態に陥った国連安全保障理事会に対する失望感も広がっている。

 こうした現実に直面し、世界各地で「核」「同盟」「軍事力」にすがろうとする動きが表面化してきた。

 国内では、自民党が「敵基地攻撃能力」を「反撃能力」に改称して保有することを提言。一部には「核共有」論も浮上している。

 だが、軍縮の歯車を逆回転させてはならない。

 際限のない軍拡競争や核拡散のその先に待ち受けているのは、世界的な悲劇だ。

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 県は2002年、アフガニスタンで人道支援活動を続けてきた「中村哲を支援するペシャワール会」に第1回沖縄平和賞を授与した。

 中村氏の活動を選んだことが平和賞の性格を決定づけた。人間の安全保障に貢献した人々を顕彰する沖縄平和賞は、沖縄が果たすべきこれからの役割をも暗示する。

 国連のグテレス事務総長は18年5月、「国連軍縮アジェンダ」を発表した。戦争と核に脅かされる今こそ、このアジェンダに魂を吹き込む時である。