ジャーナリストの池上彰さんがゲストと沖縄の日本復帰50年を考える琉球放送(RBC)の特別番組「池上彰と復帰50年を総決算スペシャル」が11日午後7時から、放送される。番組では、米軍基地周辺やかつて核ミサイルが配備された施設を池上さんが取材し、沖縄の歩みをたどりながらゲストと復帰について考える。沖縄の民放に出演するのは初めてという池上さんが収録後、インタビューに応じた。(聞き手=社会部・棚橋咲月)

収録後インタビューに応じる池上彰さん=4月16日、RBC

―収録を終えての感想を教えてください。

 「50年間を振り返るとってもいい機会だと思います。復帰前の27年間と復帰後の50年間、何がどうなったのか俯瞰(ふかん)して見ることができると思います」

―訪れた中で特に印象的だった場所はどこですか。

 「国際通りです。過去に何度も来ていますが、復帰前と復帰後を知っているお店に入って話をじっくり聞くのは初めてでした。過去にはテレビ局のロケで嘉手納基地の中に入ってみたことはありますが、地元の人の声をじっくり聞くというのができたのは、やっぱり貴重な経験でした」

池上彰さん(左)と復帰50年の沖縄について考える特別番組の収録の様子=4月16日、那覇市久茂地の琉球放送

―沖縄には取材で何度も足を運んでいるのですか。

 「仕事で初めて沖縄に来たのは、(NHK時代に)警視庁の捜査1課を担当している時でした。沖縄の風俗店の従業員がフィリピンで保険金をかけられて殺された保険金殺人事件があり、風俗店を1軒1軒聞き込みするみたいなことをしたことがありました。NHKの後輩で、今はテレビのコメンテーターの柳澤秀夫さんが初々しい新人で、彼と一緒にあちこち回ったりしました」

 ―事件取材が最初だったんですね。

 「本土の人が沖縄に来る時、問題意識によって見えてくるものが全く違うと思います。観光地として訪れると、海もきれいだし、食べ物もおいしい。基地のことは、意識しないと意外と見えてこないんです。それで帰ってしまう」

 「一方、すごく問題意識があると米軍基地ばっかり見えて、『基地の中に沖縄がある』なんてよく言われている言葉を実感して帰る。でも、どちらも沖縄。問題意識によってはどちらも見えない。それは残念だと思います」

 ―池上さんと言えば、時事問題のわかりやすい解説です。復帰を語る上で心がけたことは。

収録後に撮影に応じる出演者=4月16日、那覇市久茂地の琉球放送

 「(熟考)何だろう。日本に戻ってきたけど、本当の意味で戻れてないんじゃないかって気もどこかでするわけです」

 「じゃあ何をもって本当の意味での復帰なのかというのが非常に難しい問題ですが、昔は平和な島だったんだから、その平和な島に戻りたいんだよっていう思いをきちっと伝えていくっていうことが大事なことだと思っています」

 「最近本土でものすごく気になるのは沖縄に対するヘイトです。『わがまま言うな』『反日だ』とか、すごく嫌だなと思っています。そこまで日本って心の貧しい排外的なことになってしまったんだろうかという思いがある。こういうときだからこそ沖縄の人たちがどんな経験をしてきたのかをちゃんと伝えていかなくちゃいけないと思います」

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