これからの沖縄を築く高校生が、足元の歴史を知らないのは心もとない。学校現場を中心に、戦後史教育に取り組む機運を高めたい。

 県内の高校教諭らでつくる沖縄歴史教育研究会が実施した高校生へのアンケートで、1972年5月15日の復帰の日を正しく答えられた生徒が22%にとどまった。

 同研究会は、復帰に関する授業が十分行われていないことが要因とみる。

 顧問の新城俊昭さんは、学習指導要領による全国一律の教育で沖縄の歴史を体系的に学ぶ機会がないことや、新基地建設を巡り国と県が対立する中、「難しい問題」と敬遠されがちなことも指摘した。

 沖縄は52年4月28日に発効したサンフランシスコ講和条約により、日本から切り離され、27年間もの長きにわたり米軍の統治下に置かれた。

 戦後、米軍は日本各地に分散していたが、住民の反対運動を受け、岐阜、山梨、静岡などから沖縄に移転した。米軍の占領下だった沖縄は都合が良かったのだろう。

 日本の面積の0・6%しかない沖縄に、国内米軍専用施設の約70%が集中する問題の源流である。

 現在の基地問題を理解するためには、こうした戦後史の知識が欠かせない。

 高校生アンケートでは、米軍統治下に使用されていた通貨を「米国ドル」と正しく答えた割合が74%に上ったが、78年7月30日に交通方法が変更された「ナナサンマル」は正解が37%にとどまるなど、知識にばらつきも見られた。

 断片的な「点」でなく戦後から今に続く「線」で、体系的に歴史を学ぶ必要がある。

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 学校現場には、問題意識を持って戦後史教育に取り組む教諭もいる。

 伊良波中学校教頭の内山直美さん(51)は10年前から毎年、「4・28」の特設授業を行っている。

 授業では、基地建設のため土地を奪われた住民が起こした反対運動「島ぐるみ闘争」などを伝える。生徒が理解しやすいよう、写真から出来事を推察する「フォトランゲージ」の手法を使う。

 特設授業を続けるのは、基地問題など沖縄の今の課題を考える上で、戦後史を学ぶことが重要と考えるからだ。

 米軍統治下の圧政や復帰運動を直接知らない世代が増え、知識不足や政治的な問題を扱うことを懸念する声も少なくない。だが、復帰後生まれが半数を超える中、学校現場での取り組みはより重要さを増しているとも言える。

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 県教育庁は今年2月、児童生徒が復帰について理解と認識を深める機会をつくってほしいと、各学校や教育委員会に依頼した。

 現場任せにするのではなく、研修の場を設けたり、指導の手引きを作るなど、教諭が取り組みやすい環境をつくることが重要だ。

 地域の歴史を学ぶことは、社会問題を自分ごととして考えるきっかけになる。

 県内では、6月23日の「慰霊の日」に向けた特設授業が定着している。今後は、復帰に関する特設授業を広げていってほしい。