「パチュガツブドゥ=八月踊り」-。多良間の言葉約4千語を収めた「『つかえる』たらまふつ辞典 多良間方言基礎語彙(ごい)」がこのほど、出版された。島内外の出身者配布用に1500冊発行。QRコードで音声も聞ける。編著者の沖縄国際大学の下地賀代子准教授と、発行者多良間村教育委員会の桃原薫さんは「多良間2世、3世の方が学ぶための1冊」と辞典に思いを込める。(学芸部・松田興平)

「たらまふつ辞典」完成を喜ぶ沖縄国際大学の下地賀代子准教授(右)と多良間村教育委員会の桃原薫さん=宜野湾市の同大学

QRコードで発音などを確認できる「たらまふつ辞典」

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「たらまふつ辞典」完成を喜ぶ沖縄国際大学の下地賀代子准教授(右)と多良間村教育委員会の桃原薫さん=宜野湾市の同大学 QRコードで発音などを確認できる「たらまふつ辞典」 QRコード

出身者へ配布 継承図る

 衣食住や気候など、日常で使われる言葉を中心に記載。豊富な会話例も盛り込んだ。133語はQRコードで音声を聞くことが可能。「ン」から始まる言葉は40語あり、言葉の特殊性を印象づける。

 多良間出身の父親を持つ下地准教授は約15年前から同島の言葉を研究。「言葉の摩擦音の度合いが宮古寄りでも石垣寄りでもなく、分類できない言語」と解説する。ルーツの言葉の希少性を知っていたからこそ、編著を引き受けた。

 さまざまな地域の言語を研究する下地准教授。「若い子たちがルーツの言葉を知りたい、と思い立っても教材がまったくないと、そこで止まってしまう」と、辞典制作の意義を語る。

 「島内で話せる人は60代がぎりぎり。50代では危うい。島外なら、なおさら話せるわけない」。桃原さんは、言葉の衰退に危機感を抱いていた。言葉を残す必要性を考え、2016年度一括交付金を活用して制作を企画した。

 下地准教授が編集、しまくとぅば関連書籍の出版ノウハウがある沖縄時事出版が制作を担当。1年がかりで完成にこぎつけた。

 「完成後、多くの島の人から『こういう本が欲しかった』と言われたことがうれしかった」。下地准教授は、広く活用されることを期待する。

 辞典は非売品。沖縄本島と関東圏の郷友会へ配布中だ。問い合わせは多良間村教育委員会、電話0980(79)2674。

QRコードから3フレーズ試聴

 QRコードを読み込むと以下の「たらまふつ」の3フレーズを聞くことができる。(★は「フ」に「。」)

 ▼パチュガツブドゥ★ンヤ ガーッフェーヌ ピトゥヌ スマンケー ワー★

 (八月踊りにはたくさんの人が島へいらっしゃる)

 ▼イディヌ ピンダヌドゥ チューシャー★ガヤー

 (どっちのヤギが強いかな) 

 ▼スツウプナカンヤ ヤッカヤッカヌ クイヌドゥ スマージューンカ キカイ★

 (スツウプナカの時には「ヤッカヤッカ」の声が島中に聞こえる)