県立高校の進学校の多くが導入する全員参加型の早朝講座(ゼロ校時)について、県教育庁が各校に見直しを求めていることが分かった。

 ゼロ校時や、夕方に行われる「7校時」などと呼ばれる課外講座は1986年、開邦高校で始まった。高校課程の修了に必要な授業時間数を早い段階で確保し、残りを大学受験対策に充てる目的だったとされる。進学率を上げる手段の一つとしてその後相次ぎ設立された県立の進学校を中心に広がった。

 県外私立高校では同様の手法が一般的で、県内の大学進学率向上には一定の成果もあったと考えられる。

 だがゼロ校時は実質的に全員参加となっており、長らく事実上正規の授業として扱われてきた。その結果、さまざまな問題も生んだ。

 ゼロ校時は講座とは名ばかりで、不得手科目を克服したり得意科目を伸ばしたいなど目的を持って学習する生徒には意味が乏しかった。文化祭など学校行事当日にもゼロ校時は行われることが多く、課外活動の制約にもつながっていた。

 また徒歩やバス通学でゼロ校時開始に間に合わない地域の生徒は、保護者による送迎が不可欠となった。教員側も早朝授業のための準備で新たな残業が生じており、大人の生活にも少なくない負担が生じている。

 現在は授業の一環として課外講座を実施することを不適切とする文部科学省の方針などもあり内容は変化しているようだが、事実上全員参加の実態に変化はない。

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 課外講座の準備に追われる教員の働き方改革の意味で、また現在教育の主流を占める主体的な学びを促すという意味でも、県教育庁が示した見直しは妥当な判断だ。

 一方で、生活に困窮する世帯の子が大学進学するに当たり果たしてきた役割もまた忘れてはならない。県立高のゼロ校時の負担は低額に抑えられており、私立高校や進学塾に通う経済的な負担を軽減する一種の就学支援的な側面もあった。

 ゼロ校時がもし希望制の講座となり、現在は主にPTAが全体として負担している費用が個人負担になれば、受講をちゅうちょする子も出てくるかもしれない。

 学ぶ意欲のある子どもたちを、金銭的な問題で置き去りにしてはならない。

 県教育庁は見直しと同時に、無料で通える塾の対象を拡大するなど学びの支援も検討すべきだ。

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 高校生にとっても、早朝から出席しなければならない講座は身体的、精神的な負担だという。

 ある高校1年生は、見直し方針に「良いことしかない」と話した。この生徒にとってゼロ校時は、自ら知りたいことを自分のペースで学ぶ時間を奪われるだけのものだという。楽をしたいからでなく、自分で学ぶ時間を確保したいという点が重要だ。

 今春から実施の新学習指導要領では「主体的・対話的で深い学び」が求められている。主体的な学びを促す方向での見直しを求めたい。