昔懐かしい味は、飽食となった現代でも多くの沖縄県民に選ばれ続けている。戦後、米軍によって持ち込まれた欧米文化の影響を受けて生まれたアイスや加工食品、和洋折衷のローカルフードなど独特の食文化が根付く沖縄。戦前から変わらぬ味を提供し続ける縁起物を含め、県民に長年愛されているロングセラー商品の誕生の背景や歴史を紹介する。

■ぐしけんパン「なかよしパン」

ぐしけんパンの「なかよしパン」(中央)と「なかよしピーナツ」(左)、「なかよしココアクリーム」

 ココア味のふかふか生地にバニラ風味のクリームが絶妙なのが、ぐしけんパン(うるま市、具志堅正秀社長)の「なかよしパン」。県民に親しまれ、長年愛されてきた菓子パンだ。

 ぐしけんパンは、1951年に創業者の故具志堅秀一氏が米軍基地内で覚えたパン製造の技術を生かし、宜野湾市で製菓所を創業したのが始まり。

 ちぎって食べやすいように切れ目の入った大きめサイズと「なかよし」の名称には、ボリューム感のある商品を作り、大切な家族や大事な人と楽しく分け合って食べてほしいとの思いが込められている。

 いつから製造が始まったかの資料は残っていないが、創業者の長男で現会長の健秀氏の記憶によると、50年以上前とのこと。

 パッケージに描かれているチャーミングなカエルのキャラクターの名前は創業者にちなんで「しゅういちくん」。「無事に帰る」「福を迎える」などの意味を込めた。

 ピーナツ味(2014年~)やココアクリーム味(20年~)の仲間も増えたが、オリジナルは約60種類ある同社の菓子パン部門で長年売り上げトップを突っ走っている。(政経部・石川亮太)