「沖縄復帰50周年記念式典」が開かれた。50年前と同様に、県内と東京の2カ所での開催となった一方、初めて政府と県による共催の形をとった。

 岸田文雄首相は式辞で「強い沖縄経済」と「基地負担軽減」の実現を強調した。米軍キャンプ瑞慶覧内のロウワー・プラザ住宅地区(約23ヘクタール)の返還前の共同使用を表明し、跡地の利用を進める姿勢を示した。

 地域にとっては朗報だが、同地区は1996年のSACO最終報告で返還合意されている。26年たっての共同使用表明はあまりに遅い。SACO合意では返還が実行されていない施設も多く、県民が求める負担軽減の実感にはほど遠い。

 玉城デニー知事は、「復帰に当たって政府と共有した『沖縄を平和の島とする』との目標が、なお達成されていない」と訴えた。沖縄側の率直な声である。さらに、沖縄の復帰の意義について「国民全体の認識の共有を図っていただきたい」とも注文した。

 沖縄は50年前「核抜き、本土並み」を目指して復帰した。しかし県民所得や基地負担など「本土並み」がいまだに達成されておらず課題は山積している。解決には、沖縄の現状を国民に広く知ってもらう必要がある。

 そのため県の努力はもちろん、政府の責務でもあると自覚すべきだ。

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 式典で玉城知事は、政府に対し名護市辺野古の新基地建設断念を要求しなかった。政府批判を避けたかったのだろうが、県民が一貫して解決を望んできた課題であり、強いメッセージを発信してほしかった。

 岸田首相も言及しなかった。一方で式典後の会見では、新基地建設断念や日米地位協定改定について、改めて否定的な見解を示した。「基地負担軽減に全力」とうたいながら、耳を貸そうとしない姿勢は甚だ疑問である。

 地位協定の改定は、県議会では与野党とも一致して要求しており、知事が求める対話の場をつくるべきだ。

 沖縄タイムスなどが実施した県民意識調査では、米軍基地問題について、国が沖縄の意見を「あまり聞いていない」「まったく聞いていない」と答えた人は74%に上った。沖縄の声を無視する政府への不満は募っている。

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 ラーム・エマニュエル駐日米大使は式典で、ロシアのウクライナ侵攻を背景に「自由は無償ではない」と言及、日米同盟の強化を求めた。バイデン米大統領も「沖縄の貢献に深く感謝する」とのメッセージを寄せた。沖縄に引き続き負担を求めているとしたら看過できない。有事の際には、再び沖縄が戦場となるのではとの懸念が強まる。

 岸田首相は「平和創造の拠点としての沖縄の発展」を語り、玉城知事は「アジア太平洋地域の持続的安定と平和に貢献する」と言及した。地域の緊張緩和に働きかけ、平和の文化を根付かせることこそが沖縄の役割である。