沖縄の日本復帰と同時に発足した沖縄国税事務所には、酒の品質向上を目指し鑑定室が設置された。鑑定官が、酒類製造の研究と酒造所への技術指導を通じ経営改善を促している。

 県酒造組合連合会(現・県酒造組合)元会長で瑞泉酒造の佐久本武さんは「鑑定室が果たした役割は大きい」と強調する。復帰前の沖縄には他県のような鑑定室はなかった。

 佐久本さんは「関税のかからない洋酒との競争など厳しい環境で、資本力も乏しい中、泡盛製造の研究に取り組める酒造所はなかった」と振り返る。県外の酒造所は、高度経済成長期を経て経営規模を拡大させ、国税庁の指導も受けながら技術力を磨いていった。

 復帰直後に酒税の軽減措置が適用されることになったため、泡盛業界では各社の経営については安心感が広がっていたが、「技術力への危機意識は強かった」(佐久本さん)という。...