向こう10年間の沖縄振興の指針となる「新・沖縄21世紀ビジョン基本計画」(6次振計)が決まった。復帰50年の節目の日に、玉城デニー知事が岸田文雄首相に手渡した。

 沖縄振興特別措置法に基づき10年ごとに策定されてきた総合計画である。新振計がこれまでと違うのは、「必要に応じ、5年以内の見直し」が盛り込まれたことだ。

 さらに振計としては初めて「米軍普天間飛行場の県外・国外移設の追求」も明記した。計画は、政府が策定した基本方針を受けて県がまとめたものだが、基地負担の軽減を図るため基本方針にはない表現を盛り込んだ。

 5次にわたる振計でも達成できなかった民間主導の自立型経済。その反省に立って新振計では、強い経済の実現と全国最下位水準にある県民所得の向上を重要な課題として打ち出している。

 1人当たり県民所得を、2020年度の214万円から31年度には291万円とする展望値を設定。そのためにDX(デジタルトランスフォーメーション)やイノベーションを加速させ、生産性を高め、「稼ぐ力」の強化を図る考えである。

 全国の2倍の貧困率が示すように、この10年で可視化された子どもの貧困問題の解消も、待ったなしの課題だ。

 コロナ禍で仕事を失ったり、大幅な収入減に追い込まれ、苦しい生活を強いられている人々が少なくない。

 経済の立て直しは急務である。「誰一人取り残さない社会」の実現をお題目に終わらせてはならない。

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 沖振法が改正され、政府の基本方針が示され、県の基本計画も策定された。これで復帰50年の節目の年に新たな沖縄振興体制が船出したことになる。

 新たな法的・制度的枠組みには気がかりな点もある。

 国の基本方針は、「安保の視点を加えるべきだ」との自民党の声もあり、序文に「領海、排他的経済水域(EEZ)等の保全」という文言を挿入し、「離島が担う重要な役割」を強調した。

 一方、県の基本計画は冒頭で、「沖縄を平和の島とし…」という50年前の政府声明の表現を引用するとともに、「沖縄振興が国の責務として進められてきた」ことを強調した。

 この差を小さな違いだと見過ごすことはできない。メディア各社の世論調査結果が示すように、本土と沖縄の間に横たわる「深い溝」ともかかわってくるからだ。

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 名護市辺野古の新基地建設に反対する翁長県政、玉城県政になって、沖振法に基づく自由度の高い一括交付金が減額され続けている。

 その一方で、県を通さずに国が市町村などに直接交付することのできる沖縄振興特定事業推進費が、県との事前調整もないまま、創設された。

 沖振法の最も大切な理念は「沖縄の自主性の尊重」という点だ。

 政府は「アメとムチ」の政策を改めるべきである。どこよりも重い基地負担を背負っている沖縄がムチでたたかれ続けるような理不尽がまかり通ってはならない。