子どもが生まれた病院からもらったパンフレットで「おぎゃー献金」を知った。赤ちゃんの泣き声から名付けた献金は、全国から寄せられる善意を、心身に障がいのある子のための施設などに届けている

▼発足は1963年。鹿児島県北部の大口市(当時)で産婦人科を営んでいた遠矢善栄さんが、近くに住む重症心身障がい児の3姉妹と出会い、救いの手を差し伸べようと献金運動を始めた

▼翌年、遠矢さんから提案を受けた日本産婦人科医会は、全国で広めることを採択。以来、半世紀以上にわたり約60億円が延べ千以上の施設に贈られた

▼出生率が高い沖縄からの献金額は全国でも上位。県内では近年、重い心臓病を患う子の移植手術への募金が呼び掛けられるたびに数億円が集まった。命を育むウチナーンチュの肝心(ちむぐくる)が感じられ、ほっこりさせられる

▼おぎゃー献金のホームページには、こう書かれている。「今日まで営々と続けられている献金は、新しい命に恵まれた家族の幸せの『おすそ分け』の気持ちでもあります」

▼きょうは「こどもの日」。風に揺れるこいのぼりの下で元気に駆け回る子もいれば、病室の窓から外の景色を眺める子もいる。歩幅は違えど、その子なりのペースで歩んでほしい。そう願いながら、おぎゃー献金のインターネット寄付のボタンを押した。(西江昭吾)