交通事故などで救護されたカンムリワシが治療後、野生復帰に向けて訓練するリハビリケージが逼迫(ひっぱく)し、救護に協力する沖縄県石垣市の企業がケージを増やすため支援金を募っている。カンムリワシは石垣島と西表島に生息する特別天然記念物。石垣島では今年、事故が頻発し、18日時点の総数はすでに昨年と同数の8件。3月は1日に3件発生し、環境省と県、市が初の非常事態を宣言している。インターネットのクラウドファンディングで5月31日まで募っており、「力を貸して」と呼びかけている。(八重山支局・粟国祥輔)

リハビリケージ内で野生復帰を待つカンムリワシの幼鳥と飼育係の渡久山恵さん=18日、石垣市名蔵の「石垣やいま村」

 カンムリワシに事故が起きると、環境省や市の担当者が現場で救護し、動物病院へ運ぶ。一定の治療期間を終えると、リハビリケージに移される。飛び立つ訓練を経て、晴れて自然に放鳥する。

 ケージは名蔵の観光施設「石垣やいま村」(上地健太社長)にあり、同社が増設の資金を募っている。2007年に県の傷病鳥獣飼養ボランティア施設に登録し、受け入れてきた。

 飼育係の渡久山恵さん(49)によると、それまでは沖縄本島に送って治療していた。

 関係者が「地元で救護体制をつくろう」と訴え、やいま村も協力するようになった。

 以前にサルを飼っていたケージを代用している。2カ所のうちの一つは、後遺症で飛べず「よんなー」と名付けたワシの専用。残る一つが受け入れスペースだが「常に満室状態」(渡久山さん)だ。

 群れる生き物ではないため1羽しか入れず、翼の骨折など重傷の場合は半年から1年近くリハビリを要する。3月の非常事態ではすぐに軽傷の1羽を放鳥。環境省にも引き取ってもらうなどして対応した。現在も1羽が野生復帰を待つ。

 増設費用は350万円。返礼品などを含めた目標額は500万円で、4月末から支援サイト「キャンプファイヤー」で集めている。

 渡久山さんは「本当は救護されるカンムリワシはいない方がいい」とした上で「現実はそうではない。人間のせいで傷つけられた以上は人間の責任で元の生活に戻すべきだ。島の豊かな自然環境を守ることにもつながる」と訴えた。