[ニュース断面]

記者会見で、最終選考に残った7人について説明する選考委員会の松本哲治委員長(右)=21日、那覇市・沖縄ハーバービューホテル

 任期満了に伴う9月11日投開票の沖縄県知事選に向けて、自民党県連や県経済界などで組織する選考委員会は21日、推薦候補の顔触れを発表した。「参院選候補の決定から間が空いたが、ようやくのスタート」。県連内部には安堵(あんど)も広がったが、発表直後、候補に挙げた琉球放送(RBC)社員で、アナウンサーなどを務めた比嘉俊次氏(49)が会社を通じて立候補を否定。同社が自民県連に発表の訂正を求める事態に発展した。早くもけちがついた形の党内からは「重要選挙を前に自民党のイメージに影響する」と懸念が広がった。(政経部・山城響)

 「9月11日投開票の県知事選に立候補する考えはなく、5月28日開催の公開演説会にも出席しないとの報告を受けている」。選考委の発表から約4時間半後。RBCは比嘉氏に確認した内容だとする説明文を報道各社へリリースした。

 比嘉氏に立候補の意志がないとのニュースに、選考委員長の松本哲治浦添市長は絶句。自民県連の島袋大幹事長は「まさかでしょ」と疑った。

 比嘉氏は、4年前の知事選でも立候補が取り沙汰され、経済界を中心に知名度の高さなどを評価する声が強い。会見に出席したある選考委員は「本人が固辞したとの報告を受けていたので、会見資料で氏名を見て驚いた」と話す。

 比嘉氏に立候補の意志を確認したのは国場幸之助衆院議員という。県連によると、発表前日の20日午後10時ごろ、県連の中川京貴会長へ候補者に加えるよう電話で報告があった。

 中川会長は「報道関係者であり、公表後の影響は大きいことを踏まえ、確認作業は十分行った」と強調する。一方で、ある県連関係者は「国場氏と比嘉氏の間での言った、言わないの問題になっており、県連や選考委員会が取り持つ話ではない」と距離を置く。

 発表直後の候補者辞退は党本部にも打撃だ。ある関係者は「4年間、県政奪還を目標に掲げてさまざまな選挙を戦い、県議会でも玉城デニー知事を追い込んできた」と強調。「選考の最終段階でこの体たらくは恥ずかし過ぎる」と嘆く。

 いきなりのドタバタ劇は他の6人の候補者にも不満と不安を与えた。「合意形成は大丈夫か」。候補に挙がった一人は選考委の対応に不満を隠さない。これに対し、選考委員の一人は「(前宜野湾市長の)佐喜真淳氏が軸だ」と開き直りすら見せた。

 「オール沖縄」勢力のある幹部は、自民候補の選考過程の混乱に「比嘉氏は知名度もあり、ルックスもよく手ごわい相手になり得た」と、辞退を歓迎する。一方で「報道に携わる人材である以上、今後の業務への影響は大きいはず」と、不用意な自民側の対応を問題視した。