政府は、「全世代型社会保障構築会議」の中間整理を了承した。

 高齢者人口がピークとなり、生産年齢人口が6千万人を切ると推計される2040年ごろを見据え、社会保障制度の見直しについて中間整理を基に議論する。6月に決定する経済財政運営の指針「骨太方針」に反映させるという。

 中間整理では、子育て支援や勤労者皆保険の実現、介護の負担軽減、地域共生社会づくり、医療・介護・福祉サービスなど5項目について従来の課題を挙げ、制度改革や法改正の着実な実施を掲げた。

 フリーランスの働き方や、コロナ禍で役割に焦点が当たったかかりつけ医の制度整備など新たな課題も浮上している。

 一方で、目標を実現するための具体的な方策や根拠となる財源は示されておらず、各施策の実現可能性は不透明だ。

 社会保障制度の大きな柱でもある年金について触れられていないことも疑問だ。

 年金支給額は物価と賃金変動と連動する仕組みで、コロナ禍を受けて本年度はマイナス改定となった。参院選前の6月に受け取る4月分から減額される。

 現行制度では、国民年金(基礎年金)の水準が将来大幅に減る見込みであることも分かっている。

 出生数増加を前提にした現行制度の破綻が言われて久しい。現役世代が負担し、高齢者が使うという制度の在り方の見直しは待ったなしだ。

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 政府が、社会保障制度の抜本的な見直しに動きだしたのは民主党政権だった12年。消費税増税で社会保障を充実させる「社会保障と税の一体改革」関連法が与野党一致して成立した。

 しかしその後政権を担った安倍晋三首相は選挙前の増税を2度延期。19年、消費税の10%への引き上げと同時期に発足したのが、当時の安倍首相を議長とする「全世代型社会保障検討会議」だった。

 20年には菅義偉政権が最終報告をまとめ、原則1割だった75歳以上医療費に、2割負担を新設。若い世代には不妊治療の保険適用拡大などを盛り込んだ。

 だが財源確保や保育・看護・介護の担い手不足など根本的な解決には程遠い。

 少子高齢社会で各制度の在り方や財源はどうするべきなのか。政府はそれぞれの課題解決のための具体策を国民に示すべきである。

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 参院選を間近に控えた今、財源と制度の一体的な議論が必要だ。

 安倍政権が17年の衆院選解散時に急きょ打ち出した幼児教育・保育の無償化は「ばらまき」と批判された。結果は、中高所得者層の利用が想定を上回り開始初年度から予算不足になった。ニーズが適切に把握されていなかったためである。

 社会保障給付費は21年度予算ベースで129兆6千億円となった。00年度実績の1・7倍近くに増えたが、問題は持続可能な社会を維持するためのものかどうか、である。詳細な分析に基づいた制度設計が求められる。