1970年代に販売していた「メリーキッチン・コンビーフハッシュ」(手前左)と現在販売している少量缶(左から3番目)

■沖縄ホーメル「コンビーフハッシュ」

 沖縄ホーメル(中城村、嘉数光広社長)の「メリーキッチン・コンビーフハッシュ」は、塩漬けした細切れ牛肉と小口のジャガイモをブレンドした県民にはなじみの深い加工品。ゴーヤーチャンプルーに混ぜるのが人気の食べ方だ。

 1968年(当時は第一企業)、創業者の故与世山茂氏が「でいご印コンビーフハッシュ」を販売開始。畜産業発展のため県産牛を使用した。

 しかし、戦後の市場では米国産の加工品が多く出回っていた。県内は2次産業の発展が遅れており、県産品は輸入品よりも品質が劣るという印象から販売は振るわなかった。

 転機は69年。世界的大手メーカーの米国・ホーメル社と資本提携した。製造から出荷までの品質管理技術を習得し、売り上げを伸ばした。メリーキッチンブランドで売り始めた70年から味は変わらない。

 90年代には核家族世帯の広がりで95グラム入りの少量缶の販売を始め、2002年には「開けやすく捨てやすい」パウチも登場。味は変わらず、時代のニーズに合わせて商品開発している。(政経部・又吉朝香)

 昔懐かしい味は、飽食となった現代でも多くの沖縄県民に選ばれ続けている。戦後、米軍によって持ち込まれた欧米文化の影響を受けて生まれたアイスや加工食品、和洋折衷のローカルフードなど独特の食文化が根付く沖縄。戦前から変わらぬ味を提供し続ける縁起物を含め、県民に長年愛されているロングセラー商品の誕生の背景や歴史を紹介する。