[東京報道プラス][アクロス沖縄](169)デフリンクス手話協会代表 中村藤乃さん(34)=那覇市出身

 明るい人、おっとりした人。ろう者も性格は多様だ。同じように手話も方言や、はやり言葉、早口といった使う人の数だけ個性がある。「だから楽しい」と熱く語る。ろう者と手話の世界にのめり込み、独自の教育プログラムを開発。開いたオンライン教室は、わずか2年で利用者が1500人を超えた。「手話は一つの言語。習得することで世界が広がる」と普及を目指している。

 手話との出会いは那覇高校1年生の時。地域の手話サークルに通ったのがきっかけだった。高校卒業後は学費を稼ぐため、三重県の自動車部品工場で期間従業員として勤めた。工場では耳の聞こえない人たちも多く働いていたが「その頃の手話の技術は未熟で、会話は難しかった」という。

 多くの部下を抱えるろう者もいて、筆談などでコミュニケーションを取る前向きな姿勢に感銘を受けた。ある時、悩みを抱えながらも職場で明るく振る舞っていると、そのろう者に「だいじょうぶ」と手話で尋ねられた。「聞こえない分、視覚で情報を読み取ることに優れているし、周囲を気遣う人が多い」と気づいた。

 ろう者の世界に興味を持ち、手話を専門的に学べる埼玉県の国立リハビリテーションセンターに入学。手話を習得するほどに会話が楽しく、気づけばろう者の友人たちに囲まれていた。「言葉を発せずに1年以上、手話だけで過ごしていた」と笑う。うま過ぎてネーティブに間違えられることもあったという。ろう者の世界を「沖縄のコミュニティーと似ている。知らない人でもすぐに受け入れるし、過度に干渉しない緩い関係が心地いい」とする。...