Tokyo沖縄めし(5)沖縄料理 仲宮里 東京都中央区新富

軟骨ソーキの炙り

中央区の八丁堀駅からほど近いビルの一階、軒先の赤瓦に鎮座するシーサーが客を迎える。仲宮里という店名が渋い。昔の沖縄の飲み屋の風情を醸している。中に入ると手前側にテーブル席、奥に小上がりがあり、座卓が6個ほどある。

 

店を経営する比嘉正英さんに、おすすめを聞くと、いきなり黒い棒状のものを見せつけられた。ヒラウコー(沖縄の線香)をバラバラにしたものかと思いきや、ソーメンにいかすみを練りこんだものだという。以前はふつうのソーメンにいかすみを混ぜていたが、口元や歯が真っ黒になることを敬遠されたこともあり、長崎の業者にいかすみを練りこんだ乾麺を注文した。ただ、大量に注文できるものでもなく、店では希少なメニューだという。

 
 

イカスミソーメンチャンプルー。黒光りするビジュアルはなかなかの個性。肝心の味のほうだが、目をつぶれば、いかすみということはほとんど感じられない。普通のソーメンより少し太い気がする。そもそもソーメンチャンプルーは、ソーメンタシヤーといい、塩だけで味付けする実にシンプルな料理だが、最近はトゥーナー(ツナ)と絡めるのが主流か。その相性は間違いないね。このコラボを思いついた人は天才です。 

 

生ビールを注文したが、いきなりの麺類は腹がふくれる。比嘉さん、もう一つのおすすめが刺し身。豊洲の知り合いの業者から新鮮な魚介類を日々、仕入れている。ランチでも沖縄料理店では珍しい海鮮丼を提供するほどだ。

 
 

本マグロにタイ、カンパチの3点盛り合わせ。適度にのった脂がおいしそうな輝きをみせる。新鮮でほのかな甘みも感じられる。

 
 

主なメニューは御覧の通り。ゴーヤーや豆腐、麩の定番チャンプルーのほか、ンブシーにヒラヤーチー、これも定番の豚肉料理のいろいろ。高瀬貝のバター炒めはほかではなかなかお目にかかれない。お酒は泡盛、古酒はもちろん、泡盛のサワー類が各種そろっている。

 

比嘉さんは沖縄県浦添市前田の出身。「仲宮里」という店名は、浦添市の実家の屋号をそのまま使用した。沖縄がまだ米国の施政権下の高校卒業後に上京し、働きながら大学に通った苦労人だ。

リフォーム会社を起業し、ていねいな仕事ぶりで繁盛していたある日、店舗のリフォームしていた家主から「借りる人がいないけど、どうしよう」と相談を受けて、それなら自分がやると一念発起したのが店の始まりだった。今年22年目を迎えるという。

写真の右が比嘉さん、左は妻の純子さん。純子さんは近くで「純」というスナックを営んでいる。仲宮里で沖縄料理や泡盛に舌鼓を打ったあと、純に流れてカラオケを楽しむ酔客も多いという。

 

数ある泡盛のなかから今回は「咲元」をセレクトした。それに合わせるのは、パパイヤイリチーにしてみた。

 
 

パパイヤは、生活習慣病を予防するカロテンやビタミンC、高血圧に効果あるカリウムが豊富だそうだ。適度な歯ごたえで噛みしめるごとに体が健康になっていくような気になるのだ。

比嘉さんが「これは自分が考えたメニューだよ」とアピールしたのが、軟骨ソーキの炙り。

 
 

じっくりと煮込んだ軟骨ソーキをバーナーで炙った一品。箸で割くと、ほろほろと身がくずれる。豚肉のなかでもうまいソーキに表面が焼けた独特の薫りが口の中に広がる。

ボトル一本とったはずの「咲元」もいつのまにか半分ほどになった。ソーキとパパイヤで栄養バランスの帳尻は合ったと自画自賛しつつ、クヮッチーサビタン。

〈メモ〉
沖縄料理 仲宮里
〒104-0041 東京都中央区新富1-11-3
ランチ  11:30~14:00
ディナー 17:30~23:00
日・祝日は休み