[命ぐすい耳ぐすい 県医師会編](1279)

 沖縄県は全国と比較して男女ともに「生活習慣病を高める量を飲酒している」割合が高いのが現状となっています。一般的に適正な飲酒量は純アルコールで20グラム(女性は10グラム)未満(ビール500ミリリットル、泡盛0・5合)が良いとされており、40グラム(女性は20グラム)以上からは生活習慣病のリスクを高めると言われています。

 宮古島の「おとーり」を始め、離島では飲酒がコミュニケーションの一環として利用される傾向も強いです。南大東診療所にも飲酒が絡んだ病気で通院している方は多く、高血圧や痛風といった生活習慣病をはじめ、膵炎(すいえん)や食道静脈瘤(りゅう)破裂、がんなど命に関わるものまでさまざまあります。

 アルコールは日本で最古の精神依存物質であり、脳に直接快楽を与える作用があります。脳は1度その快楽を覚えてしまうと、それを味わうまで満足できなくなり、元に戻れない変化を起こします。これがアルコール依存を生み出します。

 アルコール依存症というと「朝から晩までお酒を飲んでいる人」「酔っぱらって暴力を振るう人」などをイメージする方が多いかもしれませんが、誰にでも起こりうるもの。人間のアルコール分解能力は1時間当たり4~5グラムと言われ、仮に泡盛を3合(純アルコール約120グラム)飲むとアルコールが分解されるまで24時間かかります。

 お酒の強い人は一見酔っているようには見えません。しかし血中にアルコールが常にある状態の可能性が高く、お酒の弱い人より強い人のほうが依存症の道を進んでしまう傾向があります。

 また、依存症は家族関係も壊してしまいます。自分で飲酒を止めることができず、仕事や金銭面に悪影響を及ぼすことで、両親や配偶者などとの関係が悪くなり、負のサイクルに陥る人もいます。

 カウンセリングや治療によって抜け出すことができるため、もし心当たりがあればまずはかかりつけ医に相談してみてください。家族が協力してくれるうちに依存症から回復する人が増えていくことを願います。(菊池徹哉・元南部医療センター・こども医療センター所属南大東診療所、現・生協浮間診療所=東京)

=第2、4木曜日掲載