沖縄県の玉城デニー知事の「(ウクライナ大統領の)ゼレンスキーです」との発言に波紋が広がっている。県関係者によると26日、知事発言に対し、県庁へ電話などで少なくとも数十件の苦情が寄せられた。県議会では、県政野党から早くも発言の説明を求める声が上がり、政局化は避けられない見通しに。与党県議は「知事選を控える中、この失言は痛い」と頭を抱える。(政経部・又吉俊充、山城響)

記者の質問に答える玉城デニー知事=25日、沖縄県庁(代表撮影)

 インターネットの交流サイト(SNS)では知事発言の報道後、「軽率だ」と批判的な投稿が相次いだ。発言に理解を示す投稿も見られたが少数だった。

 一方、県議会(赤嶺昇議長)は30日に各派代表者会を開き対応を検討する方針だ。

 与党幹部は発言を問題視し「基地問題を話す会議の場で出る言葉か。今回はかばいようがない」と話す。別の幹部は「知事の誠心誠意の謝罪しか事態を収拾できない」と頭を抱える。

 ただ、知事発言を巡る議論が代表者会の協議になじむテーマなのかは検討が必要だと慎重な構えだ。

 当初、会議は27日の開催が提案されたが、与党側の日程が合わず週明けにずれ込んだ。野党の自民幹部は「ほとぼりが冷めるのを待つ作戦としか思えないが、しっかりと問題視していく」と批判した。

 玉城知事は25日、県庁内で開いた米軍基地問題に関する「アドバイザリーボード会議」の始まる前、「ゼレンスキーです」などと発言。その場で「冗談です」と打ち消し、その後の記者会見で「不用意だった」と陳謝した。

軽率な発言と言わざるを得ない

 仲地博沖縄大学名誉教授の話 玉城デニー知事の発言をインターネット上の動画で見た。会議の場を和まそうとした知事のサービス精神が悪い方向に出たのかもしれない。発言への反発が多いということは、戦時下で苦闘している指導者に対して敬意を払わず、揶揄(やゆ)していると受け止められたのであろう。

 知事は、ロシアのウクライナ侵攻の映像を見て、実力行使する権力者に対し果敢に挑むリーダーに親近感を持ったのかもしれない。

 また、ウクライナで道路に横たわる遺体や列を成す避難民を見て沖縄戦を連想した人は多かったと思う。知事にとっては、かつての沖縄とウクライナの地上戦の住民が結び付き、ゼレンスキー氏にエールを送りたかったのかもしれない。

 多くの反発を招いたことは、結果として軽率な発言であったと言わざるを得ない。知事には県政の課題を解消していくのに全力を注いでほしい。それほど引きずる話題ではないのではないか、ということも指摘しておきたい。(行政法)