国民の声をどう捉えているのか。県民の声に耳を貸さないのはなぜか。

 自民党が機関紙「自由民主」のインターネット版で、日米地位協定に関する見解を示した。

 米軍人による犯罪や不祥事が起こると、たびたび日米地位協定の改定を求める意見書が共産党系などの会派から提出されるとし、「共産党は日米安全保障条約の『廃棄』を主張する政党ですから、日米同盟の不安定化を狙ってこうした主張を繰り返している」とする。

 まず、この見解は正確でない。地位協定改定についてはこれまで、沖縄県も繰り返し要求してきた。県議会も自民を含む全会一致で改定を求めている。

 全国知事会も2018年と20年に抜本的見直しが必要との提言を採択している。

 自民党機関紙ネット版の記述からは、改定の必要性を指摘する声は一部の党派に限ったものだ、と読める。問題を矮(わい)小(しょう)化していないか。

 同時に、改定を求める声は「日米同盟の不安定化を狙うもの」と結び付けているが、これも不正確だ。日米同盟を認める立場からも地位協定改定を求める声は上がっているからである。

 デマやフェイクニュースをチェックするNPO法人ファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)のガイドラインによると、記述は「ミスリード」で不適切である。党ホームページから誰でも閲覧できる部分の記述であり、速やかに修正すべきだ。

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 過去、地位協定の改定を求める声は沖縄から多く上がった。大田県政は1995年に10項目の見直しを要請。稲嶺県政も2000年19項目の見直し案を政府に提出した。仲井真県政は沖縄関係閣僚との面談などで改定を要求し、翁長県政は17年に新たな見直し案で11項目を追加している。

 玉城県政は現在、米軍機による低空飛行を受け米軍の訓練に国内法を適用することを求めている。PFOS・PFOA漏出などの環境汚染問題では、基地内立ち入り調査の速やかな実施などを要求しているほか、新たな建議書にも改定要求を盛り込んだ。

 米海兵隊員による性犯罪を受けて県議会も意見書を提出したばかりだ。

 しかしこの間の主な変化といえば、運用改善により凶悪犯罪に限り起訴前の米兵の身柄確保が可能になったことぐらいである。改定には程遠い現状だ。

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 名護市の海岸に16年、オスプレイが墜落した事故をはじめ相次ぐ米軍航空機事故は、地位協定に阻まれ国内法では不問に付され続けている。

 基地から派生する問題は県民の命や暮らしの安全に直結する。知事会も提言を繰り返していることを鑑みれば全国一致の要求でもある。

 米国と地位協定を締結する他国では、米軍機による事故や情勢変化を理由に交渉し改定を実現している。

 日米地位協定の発効は62年も前のことで、古い協定の改定を求める声は当然である。自民党は国民の声に向き合うべきだ。