川崎市多摩区で私立カリタス小の児童ら20人が殺傷された事件から28日で3年。事件発生時から学校を支え続ける内藤貞子校長が26日に共同通信の取材に応じ、「今も心に深い傷を残す児童がいる。ケアを最優先に、一人一人に寄り添っていきたい」と思いを語った。

 川崎市の私立カリタス小=26日

 柔和なまなざしの聖母マリアの絵が、校長室に飾られている。犠牲になった栗林華子さん=当時(11)=の作品だ。近くには、あどけない笑顔の栗林さんの写真もある。「今日もよろしくね」。内藤校長はこう呼びかけ、一日を始める。

 事件では、スクールバスを待っていた児童らが襲われ、栗林さんと、別の児童の保護者で外務省職員だった小山智史さん=同(39)=が殺害された。児童ら18人も重軽傷を負った。両手に包丁を持って事件を起こした岩崎隆一容疑者=同(51)=は現場で自殺し、動機は分かっていない。

 「スクールバスに乗れない」「授業でカッターが持てない」。事件後、恐怖で登校できない子が相次いだ。児童らにトラウマが残り、学校では心の傷を癒やす取り組みを続けてきた。

 2020年に教員と精神科医らによる支援チームを結成。校内にカウンセラー2人を常駐させた。事件当時に着用した夏用の制服を着るのがつらいという児童もおり、別のデザインをつくり、従来の制服と選べるようにした。授業でカッターや包丁を用いる際は保護者に事前連絡し、フラッシュバックが懸念される児童は使用を避けている。

 多くの児童が登校できるようになったが、カウンセラー大場貴久さん(51)は「まだ道半ば。成長するにつれどうなるのか、未知の領域だ」と気を引き締める。

 「人のためにつくす普遍的な愛をもった人間」の育成を掲げる同小。内藤校長は静かに言った。「苦しいこともあるけど、乗り越えられる力が私たちには与えられているんだよと伝え続けていきたい」(共同通信)