【那覇】東京で着物マジシャンとして活躍する佐藤基(もとき)(ジャック)さん(25)は26日、リヤカーを引きながら徒歩で331日かけて日本縦断を踏破した。ゴール地点となった那覇市の平和通りでは、旅の途中に各地で出会った仲間が集まり成功を祝福した。佐藤さんは「人との出会いがなかったら旅をやめていた」と完走を喜んだ。(社会部・東江郁香)

日本縦断に成功した着物マジシャンの佐藤基さん(右から5人目)とゴールを出迎えるため日本各地から集まった仲間たち=26日、那覇市・平和通り

 佐藤さんは新潟県出身。東京でマジシャンとして生計を立てていたが、新型コロナウイルスの影響で、相次いで仕事がキャンセルに。もともと旅が好きだったこともあり「地方の人に生のマジックを届けたい」と日本縦断を決意した。

 2021年6月30日、北海道の札幌市を起点に旅がスタートした。マジック道具や生活用品を乗せた手作りのリヤカーは総重量約180キロ。重い荷物と共に歩いた旅は過酷で「先が見えず、何のためにやっているのか何度も分からなくなった」と振り返る。

 沖縄入りしたのは21日。梅雨真っただ中で連日、雨にたたられた。ぬれながら歩く姿を見た一人の県民が、宿とご飯を用意してくれた。佐藤さんは「沖縄の人の優しさ、温かさに助けられた」と笑顔を見せた。

 初めて生でマジックを見た人たちの感動した様子や子どもの笑顔にも勇気づけられたという。

 リヤカーの外壁は、旅の途中に出会った人が書いた夢や応援の言葉でぎっしり埋め尽くされていた。「みんなの夢や希望を背負って歩きました」と照れくさそうに笑った。

 各地から駆け付けた大勢の仲間に出迎えられてゴールした佐藤さん。旅を共にしたリヤカーにそっと手を当て、完走の達成感をかみしめた。次の目標は米国縦断だという。