理想の上司は? と聞かれたら何と答えるだろうか。お世話になった先輩たちの顔が浮かんでは消え…。理想とまではいわずとも、厳しく指導してもらった上司の教えはよく覚えている

▼いまどきの新入社員はちょっと違うようだ。人材育成のトーマツイノベーション(東京)の調査によると、今春就職した新入社員の理想の上司像で最も多かったのは「プライべートの相談に乗ってくれる」(38・7%)(本紙9日付)

▼思わず首をかしげてしまったが、なんでも気軽に相談できる親しみやすい上司が理想ということか。もちろん、プライベートをさらけだすことで、仕事にプラスに働くなら言うことなし

▼一方、他の回答では「リーダーシップがある」(35・9%)は3年連続で減少。「優しく指導する」の36・4%に対して、「厳しく指導する」は20・5%となった。厳しさよりも優しさ、を求めるのはどの世代も共通か

▼働く上で、上司と身近で良好な人間関係を重視するのが最近の若者の傾向といえよう。ただ、仕事に厳しさはつきもので、その局面を乗り切るための手法を学べるのも先輩たちからだ

▼“友達感覚”の関係だけを期待しても、理想と現実は必ずしも一致しないはず。指導のスタイルは千差万別だが、新入社員には、上司に厳しさを求める気概も持ってほしい。(赤嶺由紀子)