<沖縄県、手続きミスで交付金10億円を請求できず>から続き

 沖縄県が一括交付金事業で約10億円に上る交付金を請求しなかったのは、過去に6件、同様のケースで事業最終年度の「まとめ請求」が認められた前例があるためだ。県は、今回も事業が2021年度と22年度にまたがるため、22年度の請求でよいと判断したが、国はあくまでも執行済み予算額の請求は必要だと判断した。(政経部・又吉俊充)

 県財政課によると一括交付金制度が始まった12年度以降、ソフト交付金を使った沖縄空手会館建設(14~16年度)など6件で年度をまたぐ繰り越しとなったものの、途中年度での請求はしていなかった。県としては今回も従前の事例に沿った対応との認識だった。

 一方、政府関係者は、こうした県側の対応は「思い込み」と一蹴する。国庫事業は原則、完成せずとも執行分の予算額が年度で明確に区切れるのであれば速やかに予算請求すべきとの立場だ。過去6件、年度途中で請求していなかったケースは「執行した予算額を明確に区切れなかったのだろう」と指摘する。

 今回のミスを巡り、決定的に足りなかったのは両者の意思疎通だ。特に、10億円という多額の予算を扱う県側の緊張感が欠如していたと言わざるを得ない。

 一方、沖縄関係予算の増減を巡っては、政治的な色合いが強い。

 辺野古新基地問題で対立する現県政と国の「あつれき」が意思疎通を阻害することはあってはならず、日頃から双方向の積極的なコミュニケーションが重要となる。

法令守り手続き慎重に

■識者談話 獺口浩一・琉球大教授

 今回の国庫請求の報告漏れ問題を巡っては、県も国も互いに言い分がある。今回のような手続きの誤りを生まないためには、県と国の担当者間のコミュニケーションをよりきめ細かく、かつ丁寧にし、予算請求を巡る国と県のすれ違いをなくしていくほかない。

 国は今回、原則予算は会計年度で区切るという単年度主義に基づいた対応を取ったのではないか。単年度主義は、予算執行の透明性を確保するのが目的で、複数年度にまたがる事業であっても予算執行の透明性が損なわれないよう、チェックする意味合いがある。財政の健全性の確保を重視した考えとも言える。しかし県財政当局によると、過去にソフト交付金でハコモノを造ったケースで、2年目への繰り越しが生じた場合でも、執行分が明確に切り分けられなければ3年目にまとめて請求すればよいという考え方が実際に国に通用したという。

 県側は手続きの不備を認めた。生乳加工施設を稼働できなければ工場の機能を実質的に果たせないため、過去のケースに基づいて3年目にまとめて請求すれば良いという考え方だったかもしれない。県側は国庫予算は関係法令を最大限尊重した上で、扱いにはより慎重になるべきだろう。(財政学、談)