日中関係に詳しい沖縄県出身の泉川友樹さん(43)=東京=を招いた講演会「中国は尖閣・沖縄を侵略するか!?」が5月27日、石垣市民会館で開かれた。中国との経済交流を支援する日本国際貿易促進協会の業務部長を務め、政治家らが訪中の際には日本側通訳を担うなど尖閣問題の経緯をつぶさに見てきた立場で解説した。(八重山支局・粟国祥輔)

講演する泉川友樹さん=5月27日、石垣市民会館

 泉川さんは石垣市の行政区域で中国も尖閣諸島の領有権を主張していることを踏まえた上で、中国の領海侵入が2012年の月平均5日から低い水準で推移しており、背景には14年に事態悪化を防ぐことなどを盛り込んだ「4項目合意」が交わされたことを紹介した。

 12年の尖閣国有化に端を発した緊張状態について、「少なくとも政府間においては事態は沈静化している。これが実態だ」と強調。「このままでは沖縄が中国に乗っ取られる」とする主張に対しては「毛沢東が明確に沖縄は日本領土と言い切っている」と否定し「石垣市の皆さんには事実に沿った正確な情報に基づいて冷静に尖閣問題を考えてほしい」と呼びかけた。

 中国の領海侵入について14年以降は約半分(月平均2・5日)に減少していることをデータで示し、22年は5月末現在で同1・6日と最低水準で推移していると説明。「月1回のペースで侵入時間は1時間半~2時間」とした上で、政治的な意図を持った日本の民間船が領海に入ってきた場合は「中国の侵入を誘発することになる」と指摘した。

 4項目合意では「双方は異なる見解を有していると認識し」との一文があり、中国の侵入行為は「この見解に沿った主張」とした。接続水域への常駐については「公海」の上、日中漁業協定の適用水域だと批判を退けた。

 泉川さんは「この現状は安全保障上の脅威なのか。自衛隊配備は本当に必要なことなのか」と疑問を呈し「それよりも、今は外交が有効に機能している。ここを後押しして決着を図る動きが望ましいのではないか」と訴えた。

 講演会は市民有志「フォーラムZEROの会」が主催。市民約60人が耳を傾けた。