米軍は、基地使用条件の拡大解釈を今後も続けるつもりなのか。

 那覇港湾施設(那覇軍港)にまた普天間飛行場所属のオスプレイが3機飛来した。米海兵隊は「船に積み込むため」と説明したが、いつ運ぶかや運び先などの詳細は明らかにせず、県や那覇市への事前連絡もなかった。

 那覇軍港では最近、米軍機の異例な運用が続いている。

 昨年11月には普天間のオスプレイとCH53大型輸送ヘリが飛来し、大型船に積み込まれた。同月には代替機のオスプレイが陸揚げされ、普天間に向け離陸した。

 さらに今年2月、非戦闘員避難訓練の際にもオスプレイなどの離着陸が行われた。県や那覇市は、軍港が市街地にあり騒音などの影響が大きく、基地の使用目的にも反するとして航空機の離着陸をしないよう求めている。

 復帰時、県内米軍施設の使用条件などを日米間で定めた「5・15メモ」では、同軍港の主な使用目的を「港湾施設および貯油所」とする。実際に、頻繁に県内外や海外を行き来する米軍だが、これまで同軍港での航空機運用はほとんど行っていない。

 なぜ突然、異例の運用を始めたのか。米軍は本紙取材に、今回の飛来を「5・15メモに従ったもの」と回答し、岸信夫防衛相も「主目的に合致する」としたが、とても額面通りには受け取れない。

 日米が沖縄の基地負担軽減に真剣に取り組んでいるというなら、最低限、決められた条件は守るべきだ。

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 5・15メモは、官僚や軍人で構成する日米合同委員会で合意され、県民や国民の関与はなかった。また1997年に公開されるまで、ほとんどの内容が秘密だった。その結果、県民は知らぬ間に理不尽を強いられていた。

 復帰後初めて県道104号越え実弾砲撃演習が行われた73年、住民は、生活道路の県道が実は米軍への提供施設に含まれており「米軍の活動を妨げない限り」利用を許されると告げられた。

 根拠は、それまで存在すら知られていなかった同文書だった。

 公開された後も、嘉手納基地や津堅島訓練場水域で、文書では明示されていないパラシュート降下訓練が政府により「合意に沿っている」とされている。

 本来、米軍の基地使用を制約するはずの5・15メモは、地元の意思に反して米軍の行動を追認するため使われる場面が目立つ。

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 那覇軍港では、艦船入港などの使用頻度が近年低下している。

 同軍港で相次いでいる異例な航空機運用は、浦添移設の動きを見越し、移設後も自由な活動を確保しようと米軍が「前例」を作っているためだとの指摘がある。

 復帰50年を経て、運用や周辺環境が変化しているのは那覇軍港だけではない。現行の5・15メモは、総点検する必要がある。

 その上で、合意時には無視された県や県民の声も反映させ、沖縄の基地負担全般の軽減につなげるべきだ。