沖縄科学技術大学院大学(OIST)は9日、見た目では判断ができないオキナワモズクの雌雄を判別するPCR検査法の開発に成功したと発表した。これにより収穫量の増加が見込めるほか、品種改良も可能になるという。モズクなど褐藻類で品種改良が可能になるのは世界初で、県庁で記者会見したOISTの西辻光希博士は「新品種開発の効率化や優良品種に期待できる」と話した。

オキナワモズクの盤状体から芽が出る「芽出し」。PCR検査法の確立で盤状体を見分けられる(県水産海洋技術センター提供)

PCR検査法で、単相の雌雄と複相の種盤状体を判別できる(OIST提供)

オキナワモズクの盤状体から芽が出る「芽出し」。PCR検査法の確立で盤状体を見分けられる(県水産海洋技術センター提供) PCR検査法で、単相の雌雄と複相の種盤状体を判別できる(OIST提供)

 同研究は2019年から県水産海洋技術センター(久米島町)と共同で行った。

 モズクは染色体を1個持つ単相の雌雄が交配し、染色体を2個持つ種(たね)に相当する複相(盤状体)になる。ただ雌雄と盤状体は見た目で判別ができないため、漁業者の中には単相ばかり植え付けてしまい4トンものモズクを廃棄した例もあるという。

 OISTのPCR検査法では、すでにゲノム情報が解読されているオキナワモズクと近縁種のイトモズクの情報を活用。雌雄を判別する9個の遺伝子を単相と盤状体の判別に使うことに成功した。

 モズクの直近10年間の年間収穫量は8千~2万3千トンと振れ幅が大きく、安定供給できていない。主な原因は(1)種付けした後に芽が出ず、繁殖しない(2)海に作付けする際に網から剥がれ落ちる(3)地球温暖化による海水温上昇で成長しない-があるとされるが、このうち(1)と(3)の解決に道筋が付いたことになる。

 西辻博士は「検査方法の確立で、気候変動により海水温が上昇する中、高温耐性を持つモズクの開発や同じ褐藻のコンブやワカメに応用していきたい」と話した。

 同研究は9日、科学雑誌「Phycological Research」に掲載された。(政経部・國吉匠)