沖縄県本部町の沖縄美ら島財団の研究グループは10日までに、奄美大島の絶滅危惧種である「サガリラン」を種子から増殖・育成し、そのうちの3株が開花したと発表した。研究グループは2016年から地域住民や専門家、行政関係者らと連携し研究を進めていた。同財団の佐藤裕之主任研究員は「日本のサガリランが絶滅する事態を免れることができる」と期待する。

人工培養により、容器の中で開花したサガリラン=5月(沖縄美ら島財団提供)

絶滅危惧種の「サガリラン」=2019年8月、鹿児島県・奄美大島

人工培養により、容器の中で開花したサガリラン=5月(沖縄美ら島財団提供) 絶滅危惧種の「サガリラン」=2019年8月、鹿児島県・奄美大島

 サガリランは国内では奄美大島の一部の地域でしか見られないラン科の植物。個体数が少ないことに加え、自生地の開発や乱獲で数が減っており、環境省レッドリスト「絶滅危惧 IA類」に分類されている。

 奄美大島に自生する個体は世界的な分布域の北東限に位置し、ランの分布様式や琉球列島の成り立ちを考察する上でも重要な種と考えられているという。

 研究グループは関係者の協力の下、生態調査と培養手法研究を6年間積み重ね、種子からの増殖・育成に成功。そのランのうち、3株が今年5月に培養容器内で開花したという。

 佐藤研究員は「容器内での培養ができれば、自生地の株が消失しても国内での絶滅を回避でき、培養株を植え戻すことで自生地の復元も可能になるかもしれない」と話した。(北部報道部・西倉悟朗)