グルクン唐揚げ

Tokyo沖縄めし(6)沖縄料理 なんた浜 東京都目黒区自由が丘 

今回は「住みたい街」ランキングなどでつねに上位に名を連ねる目黒区自由が丘にやってきた。ヨーロッパを思わせる街並みが人気のようだ。今回の沖縄料理の店「なんた浜」は駅南口改札を抜けて、はす向かいのビルの4階にある。

なんた浜と言えば、与那国島のビーチとして知られる。店を創業した前浜敏さんは八重山諸島・竹富島の出身で、店内にはアンガマのお面があり八重山の雰囲気を醸し出す。

 

当然のことながら、まずはオリオンビール。今回は瓶で。オリオンビール通は、ジョッキより瓶を好むという。グイッと呷ると、のどに清涼感が一気に広がる。伊江島産の大麦を使用したものだ。

 

久しぶりに食べたくなったので、ナーベーラーを注文した。こちらは、よくあるンブシーではない。ナーベーラーにかまぼこ、薄切りの豚バラ肉を一緒に炒め、どちらかというと中華テイストの味わい。ナーベーラーも少し歯ごたえがあり、今まで食してきたものとはちょいと違い新鮮な感じだ。

聞けば、敏さんは自由が丘で店を構える前に石垣市で台湾料理店を営み、かなりの人気店だったという。そんななかで、長女との約束を果たすために上京し、自由が丘で今の店をオープンさせたのが1971年11月。沖縄の日本復帰前、つまりことしで51年になる都内でも老舗中の老舗の沖縄料理店なのだ。

吉村知子さん

敏さんはことし96歳と高齢なので、今は次女の吉村知子さんがスタッフ5人と店を切り盛りしている。吉村さんによると、51年前の開店当初から行列ができるほどの人気があった。当時、沖縄料理はまだ珍しく、沖縄本島や八重山出身の人が多かったようだが、最近は沖縄大好きという人々も集うようになった。

 

メニューは御覧の通り。おつまみは、宮古ぜんまいや大谷渡おひたしなど、地元沖縄でも珍しい島野菜もあり、注文も多いという。

チャンプルーや煮物、焼き物は、沖縄の王道メニューがずらり。そのなかでまこもチャンプルやグルクンマース煮など、ほかの店ではあまり見られないものもある。

まこもは台湾料理店を営んでいるときに敏さんが知人から勧められたメニューだそうだ。

マース煮は魚を塩味で煮つけたものだが、沖縄のマース煮といえば、エーグヮー(あいご)が定番だが、グルクンというのは珍しくないかな。

 

店のもう一つの推しは、すっぽん料理。やはり敏さんが台湾料理店の時代からメニューとして提供していたもの。食するには予約が必要だ。

 ◇       ◇

 
 

料理のほうは、紅ショウガとモズクの天ぷらとグルクン唐揚げを追加(グルクンマース煮は気になったけど)。島酒はキープしていた八重山の「於茂登(おもと)」。沖縄県内で最も高い山の名。直火の地釜蒸留という方法で製造され、香ばしくて柔らかな風味が特徴だ。

 
 
 
 
 

モズク天ぷらは紅ショウガが効いて、さっぱりした味。グルクンは小ぶりながら身の弾力が何とも言えない。これのよさは、顔や細かな骨はせんべいのようにバリバリ食べられるところ。いろいろと触感が楽しめる。

 
 

於茂登がなくなったので、瑞穂の三合瓶を注文した。よくみると、酒を詰めたのは2019年4月。すでに3年が経ち、立派なクース(古酒)なのである。なんだか得した気分だ。

 
 

メニューで気になっていた「なんた炒め」を頼んだ。この店のオリジナルだ。ゴーヤーやたまねぎ、ニンジンなどをさっと炒めた料理で、野菜の歯ごたえがいい。口の中の野菜の存在感が際立つ。

これも中華の味わいで、敏さんの工夫が感じられるひと品だろう。娘の吉村さんは「母が教えてくれた味をこれからも守り続けたい」と話した。母から娘へと受け継がれる味。クワッチーサビタン。

〈メモ〉
沖縄料理 なんた浜
〒152-0035 東京都目黒区自由が丘1-8-20
第一ビル4階
営業は夜のみ 17時~23時(月曜定休)