「今夜、嘉手納基地で米軍がパラシュート降下訓練をやるかもしれない」。未確認の情報が現場から寄せられたのは10日午前。正直、「やらないだろう」と思った。いくら何でも非常識だと思ったから

▼同基地では4月24日朝、6年ぶりに降下訓練が行われ、強い反発が起きたばかり。だが夜間訓練は強行され、午後7時半から14人が闇の中を舞い降りた。地元への通告は、開始わずか4時間前

▼基地外は住宅がひしめき、周辺道路は昼夜車が行き交う。公式サイトで「嘉手納は降下訓練に適している」とうそぶき、県民の生活圏を平気で侵す米軍の感覚は異常としか言いようがない

▼1996年まで、米軍はパラシュート降下・物資投下訓練を読谷補助飛行場でやっていた。65年にはトレーラーが親志の住宅地に落ち、11歳少女の命を奪った。朝礼中の古堅小校庭を米兵がかすめ、7キロの重りが楚辺に落ちたこともある

▼村は飛行場内に役場を建てて機能を停止させ、土地を取り戻した。落成後の97年、訓練実施を打診する米軍に、当時村長の山内徳信さん(82)はこう問うた。「常識はあるか」

▼この半年、米軍の非常識な行為が目に余る。民家上空での物資つり下げ訓練、墜落からわずか6日後のオスプレイ飛行再開、連日の夜間飛行…。「常識はあるか」。山内さんの言葉を米軍に問いたい。(磯野直)