米環境保護局(EPA)が、有機フッ素化合物PFAS(ピーファス)の飲料水における生涯健康勧告値を大幅に引き下げ、厳しい基準を設定した。

 具体的には、PFASの一種であるPFOS(ピーホス)とPFOA(ピーホア)の合計で1リットル当たり70ナノグラム(ナノは10億分の1)だった従来の値を、PFOSで0・02ナノグラム、PFOAは0・004ナノグラムとした。

 PFASを巡ってはこれまでも免疫への影響や発育不全、発がん性などが指摘されてきたが、より低レベルの摂取でも健康被害が起こる可能性が示されたための対応だ。

 生涯健康勧告値は、人が一生飲み続けても健康に影響が生じないとみられる水準を示す。法的拘束力はないが、以前の勧告値を参考に設定された日本の暫定指針値・目標値はPFOSとPFOA合計50ナノグラム以下となっており、根拠が揺らぐ形となった。

 県内ではこれまで、米軍基地周辺の地下水などからPFASが同指針とは桁違いの高濃度で検出されてきた。厳格化にどう対応するか迫られることになる。

 例えばうるま市昆布の米陸軍貯油施設から2021年漏出した汚水には、最も低かった値でも新指針の100万倍以上となる7万5千ナノグラムが含まれていた。

 同年8月に普天間飛行場から米軍が下水道に放出した下水には、宜野湾市の調査で670ナノグラムのPFOAが含まれていたという。これは、新指針に当てはめると2万8千倍に当たる。

■    ■

 PFOS・PFOAは自然界ではほとんど分解されず、飲料水などを通じて摂取された後は長期間人体に蓄積される。国内では原則、製造・使用が禁止されている化学物質だ。

 それに加え、主に航空機火災用の泡消火剤に使用されてきたこと、基地に近い川や地下水流の上流で検出濃度が高くなることなどから、県内の事例について汚染原因と米軍との関係を否定することは難しい。

 これに対し米軍は基地周辺から検出されたPFASが米軍由来とは認めておらず、県が求める基地内の立ち入り調査もほぼ許していない。

 新たな指針でPFOSとPFOAの摂取量を数千分の一に引き下げ、実質的にほぼゼロにするよう求めていることを考えれば、原因を特定しないままで汚染をなくすことはできない。米軍は速やかに、県と共同で基地内の調査をするべきである。

■    ■

 在日米軍は、国内基地の環境対策について詳細に規定する行動指針、日本環境管理基準(JEGS)を定めている。環境対策については、日米のうち、より厳しい方の基準を採用するのが原則だ。

 JEGSはおおむね2年に1回見直されており、前回2020年の改定期に当たる今はPFASについて厳格化された米国内基準を積極的に採用するべきだ。

 県民の不安を払拭(ふっしょく)するためには、県や地元市町村の立ち入りと共同調査の規定を設ける必要もある。