脱炭素社会の実現に向けエネルギー消費量を削減する民家の導入が伸び悩んでいる。商業ビルなど非住宅用建物の「ZEB(ゼブ=ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)」の認定数は沖縄は九州地区トップの一方、住宅の消費エネルギーを減らす「ZEH(ゼッチ=ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」建設が進んでいないのだ。県内各金融機関は脱炭素に資する住宅や事業に対して融資金利を優遇するなどして後押しする。(政経部・川野百合子)

エネルギー消費量が実質0となる「ZEB(ゼブ)」認定を目指す県労働金庫名護支店の完成イメージ(提供)

ZEBの主な内容

エネルギー消費量が実質0となる「ZEB(ゼブ)」認定を目指す県労働金庫名護支店の完成イメージ(提供) ZEBの主な内容

 県労働金庫は、県内金融機関で初めて、消費エネルギーを100%以上削減する支店ビルを名護市で建設している。熱を通しにくい窓ガラスや高性能の空調整備などで電気使用量を減らしつつ、太陽光発電で電気をつくることで、正味100%の省エネを実現する。

 金融機関としては琉球銀行本部支店が2021年に初めて、エネルギー消費を75%以上削減した「Nearly ZEB(ニアリー・ゼブ)」を取得。労金の担当者は「建設コストは20~30%増だが、長い目で見ると節電になり、ペイできる」と話す。

 一般社団法人の環境共創イニシアチブ(SII)によると、県内のZEB認定実績のある建物のオーナー「ZEBリーディング・オーナー」の数は今年3月25日時点で27件。九州地区全体(54件)の半数を占め、老人ホームや医療機関、ホテル、スーパーなどにも認定が広がっている。

 一方、住宅を対象にした「ZEH」は浸透していない。SIIの統計では、20年度の県内の新築戸建注文住宅のうち、ZEH関連は3・5%、分譲の新築戸建建売住宅では0・1%と、いずれも全国最低だ。

 ZEH自体が知られていない上、県外で多い木造家屋が前提の制度で、コンクリート造りの多い県内住宅ではコスト増につながりやすいことが原因という。

 ZEH普及に向け、エネルギーに詳しい沖縄国際大学非常勤講師の玉栄章宏氏は「まずは、県や市町村が公共施設の建物でZEB認定に取り組むことが重要」と指摘する。

 その上で、県民の周知のため「利用できる補助金を含めて案内する必要がある。協力して周知に努めるべきだ」と提言した。