愛知県刈谷市の中野光政さん(81)は23日、糸満市摩文仁の沖縄県平和祈念公園を訪れ、平和の礎に刻まれた父盛一さんの名前をじっと見つめ、手を合わせた。これまで計8回沖縄に足を運んで近況を報告してきた。「年齢的に沖縄に来るのはこれで最後だと思う」とし「平和な世の中に導いて」と願った。

沖縄戦で亡くなった父盛一さんに「これが最後だよ」と手を合わせる中野光政さん(左)と、妻の志津江さん=23日、糸満市摩文仁・平和の礎

 刈谷市で暮らしていた盛一さんは太平洋戦争で徴兵され、最後は沖縄で6月19日に亡くなったと聞いている。父と話した記憶はなく顔も浮かばない。「沖縄の人ではない父の名前が平和の礎に刻まれ、こうして追悼式をしてもらえることがありがたく、感激している」と話す。

 何度か調べたが、父が戦死した場所はついに分からず遺骨も戻らなかった。この日、最後のけじめと考え、訪れた礎の前で父にそっと伝えた。「今日までありがとう。さようなら」(社会部・矢野悠希)