朝食抜きで登校、学用品が買えない、経済的事情で進学できない-など「子どもの貧困」は近年、社会的関心が高い問題の一つだ。

 県内は全国に比べても困窮する子どもの割合が高い。県が2021年に実施した県民意識調査では、県民の42・1%が「県政が重点的に取り組むべき施策」として「子どもの貧困対策」を挙げた。2位の「自然環境の保全・再生」の約2倍で、前回調査に続いて突出して高かった。

 さらに長引くコロナ禍による深刻な影響も明らかになっており、早急かつ抜本的な対策が求められる。

 県の「沖縄子ども調査」によると、小中学生がいる困窮世帯の割合は21年28・9%で、3年前の25・0%より3・9ポイント増えた。

 困窮世帯ほどコロナで深刻な経済的ダメージを受け、学校の一斉休校は、家庭環境による学びの格差も生んだ。「インターネットにつながるパソコン」を所有していないのは一般世帯7・8%に対し困窮世帯は30・5%だった。

 国は19年、子どもの貧困対策大綱を見直し、教育の支援やひとり親への就労支援など4本柱の重点施策を掲げたが、この調査結果を見る限り十分届いていない。

 コロナ禍では境遇の違いによる生活の質や教育面での格差が拡大しており、格差を解消する取り組みが急がれる。

■    ■

 事実上の一騎打ちとなる沖縄選挙区では、現職で「オール沖縄」勢力が推す伊波洋一氏と、自民党公認・公明推薦で新人の古謝玄太氏が、共に子どもの貧困解消を公約に掲げる。

 困窮世帯やひとり親世帯への支援拡充、ヤングケアラーへの支援など重なる対策も多いが、重要なのはこれらの施策をどう届けるかである。

 子どもの貧困は、親の貧困や病気、虐待など大人の問題と直結している。子育て支援など家庭への手当てが鍵となろう。

 県内の人口千人当たりの出生率は10・3で、全国平均6・8より3・5ポイント高く47年連続1位だ。近年は少子化の流れで減少傾向とはいうものの、高い出生率に裏打ちされた人口増は地域の強みとなってきた。

 子ども支援は未来への投資と考え、育ちと学びを社会全体で支える仕組みが求められる。

■    ■

 先の国会では「こども家庭庁」を新設する法律が成立した。子どもの貧困、いじめや不登校、ヤングケアラーへの対応など、子どもや子育て支援に関する政策を担うというが、「器」をつくるだけでは十分ではない。

 児童手当や保育サービスなど、日本の子ども関連支出(約9・7兆円)が国内総生産(GDP)に占める割合は1・73%で英国の半分程度。欧州諸国と比べ低水準だ。

 岸田文雄首相は「子ども関連予算を倍増する」とするが、財源には言及していない。財源をどう捻出するか具体的な方策についての論戦も期待したい。