徳島文理大学(徳島市)は、沖縄県外の大学で沖縄出身の学生数が日本一だ。在籍者4375人のうち、沖縄出身者が260人に上る。なぜ、沖縄の若者が約千キロ離れた四国の私大を目指すのか。取材すると、前理事長が復帰前から抱いていた「日本に戦後があったのは沖縄のおかげ」という感謝の念と、沖縄の学生が受験しやすいきめ細やかな工夫があった。(社会部・東江郁香)

徳島文理大学の沖縄県人会でエイサーサークル「ニライカナイ」のメンバーたち(提供)

徳島文理大学の沖縄県人会でエイサーサークル「ニライカナイ」のメンバーたち(提供)

沖縄への思いを語る村崎正人理事長

「ニライカナイ」で会長を務める保健福祉学部4年の勝連あみさん

徳島文理大学の沖縄県人会でエイサーサークル「ニライカナイ」のメンバーたち(提供)	徳島文理大学の沖縄県人会でエイサーサークル「ニライカナイ」のメンバーたち(提供) 沖縄への思いを語る村崎正人理事長 「ニライカナイ」で会長を務める保健福祉学部4年の勝連あみさん

■「沖縄のおかげ」

 大学と沖縄との接点は、復帰前にさかのぼる。

 前理事長の故村崎凡人(ただひと)さんは、太平洋戦争時に「沖縄が日本を守った」という思いが強かったという。1961年に訪れた沖縄で、本土との格差を目の当たりにした。

 「教育レベルを上げなければ生活レベルも上がらない」と翌年、沖縄からの留学生の受け入れに乗り出した。村崎さんは沖縄から入学した学生を自宅の隣に住まわせるなど、熱心に気にかけていたという。

 長男で現理事長の村崎正人さんは沖縄出身者を「とにかく明るく、トップレベルの成績で卒業する学生が多い」と評する。

■受験しやすい工夫

 大学側は、高校や保護者との関係を密にするため、約10年前から沖縄に住む同大OBが広報担当を務める。推薦を含めて沖縄で年に5回、入試を開催。一昨年は学生の就職支援に関する協定を県と締結するなど、学生の受け入れに力を入れている。

 沖縄出身者は96年以降100人を超え、年々増加。近年は、毎年60~70人の学生が入学するという。

 2004年に創設された学内の県人会兼エイサーサークル「ニライカナイ」は、学内で唯一、100人を超える125人が所属する大所帯だ。

■ホームシック解消

 会長は保健福祉学部看護学科4年の勝連あみさん(21)=沖縄市出身。入学当初は初めての1人暮らしでホームシックになったが「沖縄の人と話せる安心感で、新しい環境にすぐ慣れた」と振り返る。

 学年をまたいだ縦のつながりも強い。テスト期間中は先輩後輩を問わず集まり、勉強会を開く。

 勝連さんは卒業後、沖縄に戻って就職する予定だ。「脳神経外科で患者に寄り添える看護師になりたい」と笑顔で話した。

 凡人さんは沖縄を訪れると、決まってひめゆりの塔や平和の礎を参拝した。正人さんも先代の思いを継ぎ、必ず慰霊碑に足を運ぶ。本土との格差はまだ残ると感じる正人さん。「平和だから教育ができる。今後も沖縄の学生と一緒に学んでいきたい」と力を込めた。