[7・10参院選](あと10日)

宮原ジェフリー氏

宮原ジェフリー氏

 7月10日投開票の第26回参院選まで残り10日。過去最多タイの5氏が立候補している沖縄選挙区(改選数1)では、28日から政見放送が始まっている。5分30秒の持ち時間で、公認を受ける党トップの訴えを盛り込んだり、耳が不自由な人にも伝わるように手話通訳や字幕を付けたり、構成に工夫を凝らしながら支持を訴える。あまり注目度が高いとは言えない政見放送だが、選挙に詳しい専門家は「政策の違いを知るきっかけにしてほしい」と提起する。(参院選取材班)

 政見放送は、街頭などでの演説が見られない有権者にとって、本人の直接の訴えを確認できるメリットがある。テレビでは各候補の所見がNHKと民放3社で計5回放送されるほか、ラジオでも放送される。

 激しい選挙戦を展開する「オール沖縄」勢力が推す現職の伊波洋一氏(70)と、自民党公認で新人の古謝玄太氏(38)は特に工夫を凝らす。

 伊波氏がスタジオでの収録映像であるのに対し、古謝氏は持ち込み映像だ。公職選挙法では、無所属などの候補者はテレビ局での収録映像に限定される一方、政党の公認や推薦を受けた候補者には映像の持ち込みが認められるためだ。

 28日に初回の放送があった古謝氏は、冒頭に自民党総裁の岸田文雄首相が登場するなど、党本部のバックアップを印象付ける構成。字幕を取り入れ、アニメで生い立ちや立候補の経緯などを紹介した。

 これに対し伊波氏の初回は29日放送。現職としての1期目6年間の実績をPRした。街頭などで訴えているスピーチの内容を軸に、経済や暮らし、基地問題など、幅広い政策を手話通訳を入れて訴えた。

 このほか、幸福実現党の金城竜郎氏(58)は経済財政と沖縄防衛の「二つの危機を乗り越える」ための政策を軸に展開。参政党の河野禎史氏(48)はジェスチャーを交えながら「本気で政治に参加していく」などとPR。NHK党の山本圭氏(42)は「NHKをぶっこわーす!」と訴えるなど、各自の特徴を前面に打ち出す。

放送の制作費 全て国の予算

 参院選選挙区の政見放送に手話通訳や字幕、映像の持ち込みができるようになったのは2019年の前回選挙からだ。「できる限り多くの国民に候補者の政見がより効果的に伝わるように」との目的で公選法が改正された。

 県選挙管理委員会によると、195万4千~287万3千円かかる政見放送の制作費は、全て国の予算で賄われる。

政策の違い知る機会 選挙ライター宮原氏

 選挙ライターとして活動する宮原ジェフリー氏(39)は、政見放送が「各候補者の政策の違いを知るきっかけになる」と語る。

 「例えばA候補者が何を主張しているかは聞けば分かるが、何を主張していないかはB候補の政策を聞かなければ分からない」ことから、沖縄選挙区に立候補する5人それぞれの政策を聞き比べることを勧める。

 その一方で、最近になり候補者が独自に編集した映像を持ち込めるようになったことで映像が扇動的となり「バズる(話題になる)」ことだけが目的と言われかねない放送が全国的に散見されるようになったとも指摘する。投票先選択の判断材料を提供する場からそれた政見放送の利用に危険も感じている。

 テレビやラジオは放送時間が決められ、繰り返し見ることができないことから「制度として古く、アップデートできていないのではないか」と話し、各選挙管理委員会の責任で「公平に全立候補者の政策にいつでもアクセスできるような仕組みを整えることが必要なのでは」と考える。

 政見放送を「入り口」に選挙公報や新聞報道などさまざまな情報に触れ、大事な一票を託してと話した。