[胃心地いいね](683)お食事の店 くろちゃん 今帰仁村湧川1578の16

人気メニューの一つ「てびち煮付け」(750円)。とろけるような口当たりで、豆腐や野菜にも味が程よく染み込んでいる

(右から)店主の安田昌代さん、道向かいのケーキ店から手伝いに来ている寺内清子さん、調理担当の豊里努さん=今帰仁村湧川

お食事の店 くろちゃん

人気メニューの一つ「てびち煮付け」(750円)。とろけるような口当たりで、豆腐や野菜にも味が程よく染み込んでいる (右から)店主の安田昌代さん、道向かいのケーキ店から手伝いに来ている寺内清子さん、調理担当の豊里努さん=今帰仁村湧川 お食事の店 くろちゃん

 「三枚肉そば」「ポークたまご定食」「ゴーヤーチャンプルー」。早朝の取材を終えた帰り道、大雨の中で国道沿いに立てかけられた看板を目にしておなかが鳴った。

 引き返して店を訪ねると、残念ながら開店前。「いいよ、いいよ。準備はできているから何でも食べて行きなさい」と、店主の安田昌代さん(75)が迎えてくれて、作ってもらった具だくさんのみそ汁が心に染みた。

 安田さんの料理好きが高じ、自宅の敷地に店を開いたのが約20年前。店名の「くろちゃん」は経営が黒字になるようにとの願いが込められている。沖縄の家庭料理が中心で、どれもまんべんなく注文が入るというが、てびち煮付け(750円)、みそ汁(650円)は特に人気という。

 美ら海水族館や今帰仁城跡を訪ねる県外からの観光客と、中南部を含めた地元からのお客さんとで半分ずつぐらい。お客さんには「お母さん」と呼ばれて親しまれ、客席のテーブルに置かれた「くろちゃん日記」には来店者が思い出をつづる。

 プロ野球キャンプの季節になると毎年やってくる和歌山からのグループがいたり、今は地元の福岡に帰ったかつての常連さんが、安田さんの孫の進学時に住まいの家財道具を用立ててくれたり。

 数日前も、神奈川のお客さんが桜の花のお茶を送ってきてくれた。沖縄に来るたびに立ち寄るお客さんが「覚えていますか」と、懐かしそうに会いに来ることもしばしばだ。「私のお客さんはみーんないい人ばかり」と安田さん。

 料理を待つ間に出している一口大のサーターアンダーギーは手作りのおもてなし。良心的な価格設定も「店の家賃が出ない分、お客さんへの還元」と笑う。

 注文が落ち着けばテーブルを回ってお客さんに一声かけて歩く。いつ来ても変わらぬ優しい家庭の味と、飾り気のない親切な安田さんの笑顔が、また人々をお店に向かわせる。

(北部報道部・粟国雄一郎)

 【お店データ】営業時間は午前11時~午後3時。火曜定休。電話0980(56)3919