第6次となる沖縄振興計画(新・沖縄21世紀ビジョン基本計画)が5月にスタートした。今後10年間の沖縄振興の方向性を示し、将来像の実現に向け重要な局面を迎えた。

 「自立的発展と県民一人一人が豊かさを実感できる社会」「誰一人取り残さない社会」の実現などを目標に、これまで5次にわたる振計で達成できなかった課題解決に重点を置いた。

 県内総生産を2020年度の4兆1千億円から5兆7千億円、全国最下位にある1人当たり県民所得は214万円から291万円などとする展望値を設定。労働生産性を上げ、企業の「稼ぐ力」を強化することで、所得向上につなげる狙いだ。

 こうした循環の結果、子どもの貧困問題の解消を目指すとしている。

 ただ、コロナ禍で傷んだ県経済の立て直しは急を要する。施策を着実に実行し成果を出すには、官民一体でスピード感を持った取り組みが欠かせない。

 振計の根拠法となる改正沖縄振興特別措置法には、今回初めて、「必要な場合は5年以内の見直しを行う」ことが盛り込まれた。これまで以上に効果検証が求められる。

 参院選は復帰50年の節目に実施される重要選挙であると同時に、選ばれる議員の任期は新振計の期間と多く重なる。各候補者には、施策をどう具体化し、自立的発展できるかを議論してもらいたい。

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 沖縄選挙区は事実上の一騎打ちの構図。5次にわたる国の沖縄振興への取り組みについて、「オール沖縄」勢力が推す現職の伊波洋一氏は「不十分」、自民党公認・公明推薦の新人、古謝玄太氏は「どちらでもない」とする。

 伊波氏は、道路などのインフラ整備が進んだ一方、集中する米軍基地は「県経済最大の阻害要因」と主張。古謝氏は、50年間で生活環境は目覚ましい改善を遂げたとする一方、自立型経済や貧困問題は残っていると指摘する。

 自由度が高い一括交付金については両氏とも「賛成」の立場だが、減額が続いていることに伊波氏は「極めて政治的」と批判。古謝氏は「県と国が協議を深める必要性」を挙げる。

 そもそも沖縄振興は歴史的、地理的など特殊事情に鑑みて進められてきた。その観点を踏まえた沖縄関係予算の在り方を論じてほしい。

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 国の沖縄関係予算を各省庁分まとめて内閣府が計上する一括計上については、伊波氏は県の意向を前提とした上で「県独自に予算編成し、折衝する方向に進んでいくべきではないか」、古謝氏は県経済の発展を支える枠組みで今後も必要とした上で「全国並みの予算・制度への移行も視野に入れるべきだ」とする。

 長年続く同制度は効率的と評価がある一方、もらいすぎとの誤解も生んでいる。

 選挙戦を通して、一括交付金も含めた予算の自主性をどう確保するかも深く議論してもらいたい。