沖縄で見られる魚や水産物を734種掲載した「沖縄さかな図鑑」(沖縄タイムス社、1980円)が、6月発行の5刷で累計発行部数1万部を突破した。30日に県漁業協同組合連合会の那覇市内の市場を見学した著者の下瀬環(しもせ・たまき)さん(水産研究・教育機構水産資源研究所長崎庁舎勤務)は「自分が欲しいと思う図鑑を作ったので、多くの人に共感してもらえてうれしい」と喜んだ。(出版コンテンツ部・城間有)
昨年3月刊行の「沖縄さかな図鑑」は、研究者目線での専門的な知識から、漁業者への聞き取りで得た漁法や地域での呼び方を掲載。それに加えて、「一度刺身で食べてみたが、内臓の臭いは強いものの、身はおいしかった」(タテジマキンチャクダイ)など、下瀬さんの好奇心が垣間見えるのが魅力で、県内外で売れている。今年4月に第8回沖縄書店大賞(沖縄部門)を受賞した。
初刷りから5刷まで、毎回情報が更新されている。下瀬さんにとって、市場は新しい情報を得る場所。網でこすれて傷が付いていたアカメモドキの写真は、4月に市場で傷が少ないものを買って撮影し、5刷で差し替えた。
この日は、図鑑を更新する情報はなかったが、国内では八重山でしか捕れないワキグロアカフエダイを見つけ、「沖縄本島で捕れたとなると北限が更新されるので」と、仲買人に場所を質問。小浜島で捕れたことを確認していた。
「図鑑にはいろんな工夫を忍ばせていて、まだ気付かれていない秘密もある」といたずらっぽく笑う。「いつか誰かが見つけてくれるかも」と話した。
「沖縄さかな図鑑」は、ユーチューバーの「ハイサイ探偵団」が釣り対決の動画で使用して話題となっている。書店、またはインターネット通販の沖縄タイムスギャラリーショップで販売している。問い合わせは読者局出版コンテンツ部、電話098(860)3591。