KDDIの大規模な通信障害の影響は通話やデータ通信だけでなく、生活に関わる多くのサービスに広がり、大きな混乱を招いた。

 復旧作業は完了したとするが、障害発生から40時間を過ぎても、電話がつながりにくい状態は続いている。

 利用者への説明責任を果たすとともに、抜本的な再発防止策を求めたい。

 携帯大手KDDIが提供するauなどで、通話やデータ通信が利用しづらくなる通信障害が発生したのは2日午前1時半ごろ。不具合は同社から回線を借りる楽天モバイルなどにも及んだ。

 影響は最大3915万回線に上るといい、かつてない規模となった。

 JR貨物では荷物の行き先などを把握するシステムにトラブルが生じ、全国の駅で列車の遅延が発生した。

 気温や降水量などを観測する「アメダス」は、データの一部が配信できなくなった。

 消防庁は急きょ119番通報について「固定電話などから通報するか、近くの消防署に駆け付けて」と対応を呼びかけた。

 県内では折から台風4号が接近中で、電話がつながらないことへの不安が広がった。

 新型コロナウイルス対応を巡っても、PCR検査の結果が報告できなかったり、自宅療養者とのやりとりに支障を来す事態となった。

 携帯は今や生活や仕事になくてはならない重要インフラである。幅広いサービスの基盤となる通信網にひとたび不具合が生じれば、その影響は計り知れない。

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 3日、記者会見したKDDIの高橋誠社長は「ご迷惑をおかけし、おわび申し上げる」と述べ、補償に触れた。

 障害は、音声通話のサービスを提供する設備の故障がきっかけで、システムの負荷を減らそうと通信量を制限する対策を講じたため、通話とデータ通信が利用しづらくなったという。

 設備の故障は起こり得ることである。その際、広がりを抑える策はなかったのか。

 緊急通報が遅れるなどの事例も報告されており、対応の甘さは否めない。 

 利用者の中には故障を疑いauショップを訪ねたり、カスタマーセンターに問い合わせた人も多かった。

 金子恭之総務相が「利用者目線で見れば十分でなかった」と批判したように、発生から1日以上たって記者会見が開かれたことや、情報周知の在り方にも疑問が残った。

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 総務省は今回の障害が電気通信事業法上「重大事故」に当たるとの認識を示している。

 昨年、同省は重大事故を起こしたNTTドコモを行政指導した際、携帯他社にも緊急点検を要請し、連携して再発防止に取り組むよう求めていた。だが結果的に教訓は生かされなかった。

 モノのインターネット(IoT)が進展し、企業によるデジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みが進む。

 あらゆるものがネットとつながる社会で、携帯電話会社が負う責任は極めて重い。