通信大手KDDIが提供するauなどで2日未明に発生した全国規模な通信障害。沖縄県内では3日夜も安定した通話などができない状況が続き、宅配や飲食業などさまざまな分野に影響が広がった。家族や知人と連絡が取れず、公衆電話を探し回った人も。本格的な復旧のめどが見えない中、県民からは不安やいら立ちの声が上がった。(社会部・銘苅一哲、普久原茜)
宅配便大手のヤマトホールディングスはホームページで、荷物の問い合わせシステムで最新情報が更新されない状況を告知した。
那覇市内の営業所の従業員は「普段取引している業者からの集荷依頼は電話で受け付けているが、通信障害で連絡が取れない」と困惑。不在票を受け取った客が電話で再配達を依頼できないため、営業所に直接受け取りに来るケースも多いという。「苦情も寄せられたが、事情を説明して納得してもらっている。業務への影響は大きい」と疲れた様子で話した。
「首里てんぷら家」によると、電話で注文できなかった人が直接買いに来たケースが2日から3日にかけて30件以上あった。店員の女性は「メニューによっては売り切れで買えないことも。周囲の人は『もう電話を解約しようかねー』と冗談交じりに話していますよ」。
音声通話ができないため、普段利用することが少ない公衆電話を探し回った人もいた。
県外から豊見城市に帰省中の宮良公美さん(49)は台風が迫る2日午後、離れて暮らす障がいのある兄と連絡が取れなくなった。自営業の母親も従業員と不通になり、一緒に車に乗って公衆電話を探し回り、20分かけてスーパーの前で発見。「ようやく見つけたのに小銭がなく、買い物でお金を崩してようやく電話ができた。これを機に公衆電話の場所を覚えておかないと」と早い復旧を願った。