発生から60時間超。通信大手KDDI(au)の大規模な通信障害は週明けの4日、ようやく回復に向かった。だが、障がい者施設で相談員や医師らと連絡がつかなかったケースや、携帯で119番がつながらず、自力で消防署までたどり着いて救急搬送された人も。広い範囲で影響が出た。

通信障害に関するおわびの文書を店頭に貼り出す那覇市内のauショップ=4日午後

 KDDIの大規模通信障害の影響で2~3日にかけて、スマートフォンや携帯電話で119番通報できなかったというケースが県内で少なくとも18件あったことが沖縄タイムスの調べで分かった。消防によると、無料通信アプリ「LINE」で知り合いに通報を依頼したり、直接来署して搬送されたりするケースがあった。

 県内18消防のうち、14消防の通報を集約して受け付ける県消防司令センターによると、通報の件数には目立った影響はなかったが、他人に通報を依頼したケースが6件あった。LINEで知人らに通報を依頼したケースもあったという。

 本部町今帰仁村消防組合消防本部では、2日午後、「血圧が上がってふらふらする」と、auの携帯で通報できなかった体調不良者が自ら運転して来署した事例もあった。那覇市消防局は消防車両で市内を巡回し、緊急通報時にはau以外の回線や固定電話を使うようスピーカーで呼びかける対応に追われた。(社会部・矢野悠希、比嘉海人)

■配達業者「補償はあるんでしょうかね」

 日本郵便の下請けで荷物を配達する浦添市の企業は、社員5人が1人当たり1日約100件の荷物を届けている。

 社長で自身も配達を担う男性(47)によると、通信障害が発生した2日以降、配達に事前連絡が必要な相手に電話をかけても呼び出し音が鳴る前に切れてしまい、自宅も不在で荷物が届けられないケースが1日5件ほどあるという。着信履歴が残っているかは分からないが、配達の期限まで相手からの連絡を待っている。

 日本郵便が荷物の一部に遅配の恐れがあると発表するなど、全国的に業務に支障が出ている状況だ。KDDI側が検討するとしている補償について男性は「補償はあるんでしょうかね。僕は下請けなので、補償を求めるとしても契約先が判断することになると思う」と話した。(社会部・棚橋咲月)

■福祉施設「代替手段の必要性を感じた」

 通信障害は社会福祉施設にも影響が及んだ。ソーシャルアクション(浦添市、崎濱隼次代表)が運営する障がい者施設では、利用者が職員の制止を振り切って外に出るというトラブルがあったが、サポートする相談員や医師らと連絡がつかなかった。利用者にけがはなく、大事には至らなかったが、連絡網が思うように機能しなかった。

 チャットなど電話以外での通信手段を試みつつ、崎濱代表が施設の管理者に問い合わせたが通信の不具合が続いた。崎濱代表は「利用者は相談員や主治医など関係する連絡先が複数に及ぶ。代替の連絡手段の必要性を感じた」と話した。

 那覇市保健所では2~3日、新型コロナウイルス新規陽性者のうち計374件で電話が通じなかった。担当者は「市民一人一人に電話で確認を取りたいが、通信障害に加え、陽性者が増えたことが重なった」と述べた。(社会部・平良孝陽)