[7・10参院選]
3年ごとの参院選の投票率は全国、沖縄県内ともに低い傾向が続く。前回2019年の県内投票率は補欠選を除き初めて5割を切る49%。20代に関しては33%と、3人に1人しか投票していない。「投票に行かない」選択の背景に何があるのか。街で聞いた。(社会部・城間陽介、棚橋咲月、東江郁香)
「前回の知事選で期待した人が当選したけど、現実は変わらない。ましてや沖縄の国会議員が国を変えられるとは思えない」
参院選に行かないという飲食店勤務の40代男性は、前回知事選で当時保育士だった妻の処遇改善や、貧困や格差改善に期待し1票を投じた。だが、4年たって良くなった感覚はない。政治に求めるのは目に見える形で現状を変える政策実現だ。
毎日繰り返されるコロナ報道に嫌気が差し、新聞やテレビを見なくなったことも政治的関心の低下に影響している。日頃接するニュースは忙しい朝に少しだけ見る全国放送くらいで、県内のニュース媒体を見ることはほとんどない。
男性の現在の時給は1100円。1日12時間、週6日働いて月収は26万円ほど。共働きで娘3人を育てる。「みんな目の前の生活でいっぱいだと思う。政治を考えるには所得と時間的余裕が必要」と話した。
選挙に行ったことがないという看護学校に通う女性(22)も、時事情報は主にSNS(交流サイト)で触れる程度だ。「SNSとか自分のコミュニティーに政治的トピックが入ってこないから、選挙に行く意味も分からない」と言う。
投票率が高い年配の層でも選挙から遠のく人がいる。那覇市の女性(67)は、復帰後ずっと、米軍基地反対の候補に投じてきた。しかし基地負担は減るどころか増え、期待が裏切られたと感じる。
普天間飛行場の「県外移設」を主張した民主党政権誕生時の衆院選、直前の参院選の投票率は、沖縄、全国ともにやや持ち直していた。県外移設はいまだに実現しない。
「政治に疲れてしまった」と言う女性は、離婚して働き始めたことで「生活に追われ、政治への関心が薄くなってしまったのも大きい」と語った。