【東京】ウクライナの避難民を支援するため、6月中旬から約2週間、隣国ポーランドへボランティアとして派遣された沖縄県出身で青山学院大2年の知念大虹(たいこう)さん(19)=浦添市出身=が7日までに帰国した。言葉の壁などから「何もできない無力さ」を感じた一方、平和のために「自分が何をすべきかを考える機会になった」と振り返る。(東京報道部・新垣卓也)
知念さんは6月13日から29日まで、日本財団ボランティアセンターのプログラムで、学生ボランティアグループの一員として派遣された。大学では国際政治を学び、ロシアの侵攻を受けるウクライナの状況を見て「居ても立ってもいられない」と、即応募した。
避難所があるポーランド南東部プシェミシルなどを中心に活動し、衣服や飲食などを提供した。目を輝かせる子どもたちがいる一方で、深い闇のようなまなざしの大人もいた。
ロシアが制圧した南東部マリウポリ出身の女性から「戦後の日本と米国はなぜ仲良しなのか」と聞かれた時は、米軍統治下にあった沖縄が頭をよぎった。「マリウポリが今後どうなるか確証はない。彼女らの心情を思うとつらい」
侵攻を止められず、避難民との言葉の壁もあった。「自分には、何もできない」。無力感にさいなまれて「何度も泣いた」と知念さん。その経験が「自分の学識をどう役立てればいいか、考えるきっかけにもなった」と語る。
知念さんの祖母は、沖縄戦で艦砲射撃の破片が当たり、右目を失った。
有事となれば、基地が集中する沖縄は戦争に巻き込まれる。一方、ウクライナの現状を踏まえれば、基地の必要性も感じる。「結論を出すのは難しいけど、まずは若い世代にもっと政治に興味を持ってほしいと強く思う」と希望する。