
Tokyo沖縄めし(9)やーじ小 神奈川県横浜市鶴見区
来たぜ鶴見だ。ちむどんどん。
NHKのドラマ「ちむどんどん」で全国にその名が知れ渡った横浜市鶴見区にやってきました。都内から京浜東北線で川崎の次の駅。近いですね。鶴見と言えば、川崎市とともに、戦前からウチナーンチュが多く住んでいることで知られている。駅前で路線バスに乗り、仲通りというところで降りる。近くには鶴見沖縄県人会館とおきなわ物産センターがある。一帯は沖縄タウンといった趣だ。
そんな沖縄タウンの一角に沖縄そばの「やーじ小」がある。やーじぐゎーと発音する。屋宜キヨさんという方が創業したとのことで、屋宜さんをウチナーグチで言うと「やーじ小」が店名になった。「屋宜さんの店」というところなのか。
店につくと、すでに5人ほどが並んでいた。


鶴見で人気を誇る沖縄そばの店だ。20分ほど待っていると、1階でなく、外階段から上へ案内された。あぁ、2階もあるのか。2階に店員がいる場合もあるが、いない場合はインターホンでの注文らしい。


メニューには、中味そばとかテビチそば、ポークそばなんてものもある。チャンプルー類や汁物など、本格的な沖縄の食堂という感じだ。量を増やしたいなら「中盛」「大盛」などがあり、フーチバー(よもぎ)とかアーサ(あおさ)、ゆで卵のトッピングもある。この日はオーソドックスに三枚肉そばを注文した。

見てくれ、イッツ・ザ・三枚肉そば。三枚肉というのは豚のバラ肉のこと。赤身と脂身と皮部分が三層になっていることから沖縄では三枚肉と呼ぶ。三枚肉 5枚乗っても三枚肉。このサービス精神が、うれしいです。


三枚肉のこの照り。食欲をそそるきらめき。心もときめき。いざ実食、麺は自家製で、昔、那覇市の平和通りや開南あたりのそば屋を思い出す。やや太めの平麺でコシがある。ノスタルジーのひととき。スープは、豚の出汁がしっかり出ている。


沖縄そばでおなじみの唐辛子とコーレーグースで風味を変えてみる。しっかりした出汁に力強い辛味が生きて来る。

屋宜キヨさんが創業したのは1955年。現在は、孫の雪山秀人さんが社長として製麺工場とともに経営している。しっかりした出汁に負けないような麺を目指し、試行錯誤を繰り返しながら、いまのメニューになるまでに10年ほどかかったという。
仕込みは毎日午前8時頃からはじまる。雪山社長自らスープの味のベースを決め、三枚肉やソーキ(豚のあばら骨)の味付けまでこだわる。食材の豚肉や野菜は沖縄から取り寄せたものだ。
丹精込めたメニューで店を切り盛りしているのが店長の請園健太さん。母親は沖縄の出身。以前はラーメン屋で働いていたが、半年前から店長を任されている。「まだまだ修行中でいろいろと学びたい」意欲的だ。
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別の日、おじゃましたときには、ソーキそばとチキナーフーチャンプルー(単品)を注文した。



ソーキの味付けは絶品。スルッと骨がとれる柔らかさだが豚肉を食べているという感じがダイレクトに来る。


そして、チキナーフーチャンプルーだ。チキナーとフーの両方を食べたい方にはありがたいのだ。チキナーとはからし菜のこと。沖縄では塩もみしてしばらく置いてあと水洗いして炒める。しゃきしゃき歯ごたえのチキナーとやわらかフー、チキナー・ミーツ・フー、フー・ミーツ・チキナー、この出会いが歯ぐきを刺激し、噛む喜びを実感する。

ソーキそばとチキナーフーチャンプルー、食べきれるか心配したが、美味しくて完食。請園店長は「沖縄の家庭料理を身近に感じられるように、と心掛けている」と話す。NHKドラマ「ちむどんどん」の影響もあって、最近は地元客だけでなく、新しい客も増えている。「多くの人にうちの味を愛してもらえるようにしたい」と意欲的だ。
チュファーラ(お腹いっぱい)食べて大満足でした。やーじ小さん、クワッチーサビタン。
〈メモ〉
自家製沖縄そば やーじ小
〒230-0042 神奈川県横浜市鶴見区仲通3-72-2
昼 11:00~15:00
夜 6:00~20:00 定休日は毎週火曜日、第3水曜日
営業時間、休みは変更となることもある。