歴史の面白さは、評伝の厚みと深さにあると、よく言われる。例を挙げると、中野好夫の『蘆花徳富健次郎』(筑摩書房)、萩原延寿の『遠い崖-アーネスト・サトウ日記抄』(朝日新聞社)等は、人物と時代の緊張・悩み・葛藤の連鎖を表現して、歴史の醍醐味(だいごみ)を堪能させてくれる作品である。