退職代行を利用するときには、担当者に任せておくだけで退職に必要な手続きを一通り行ってもらうことができます。
次の職場で勤務を始めるために準備を整えたり、転職活動をしたりするのに時間を費やしてしまって退職のことは半分忘れていても大きな支障はありません。
しかし、退職届を書いておいた方が良いのではないかとふと思いつくこともあるでしょう。
退職届は退職代行を利用するときでも書いた方が良いのでしょうか。
やはり書いておこうと思った人のために書き方の例も紹介します。


目次
退職代行を利用しても退職届は書いておくべき!
退職代行を利用するときには任せきりにしてしまって、退職届けを出さない人もいるのは確かです。
退職届を上司に書面で直接手渡すというのが一般的な退職手続きの始め方ですが、退職代行を利用するようなケースでは上司に会いたくないと思う場合が多いでしょう。
退職代行を利用するときにはこの手続きをスキップしてしまっても問題はないのでしょうか。
退職届を出すことにどういう意味があるのか、どんな提出の仕方があるのかを理解しておきましょう。


退職届は書かなくても退職は可能
まず退職代行を利用するかどうかに関わらず、一般的な事実として退職届を提出するのは義務ではないということは覚えておきましょう。
社内規定を見てみると、退職したい場合には退職を希望する日よりも14日以上前に上司や担当部署に退職届を提出するように書かれていることがあります。
そのため、原則としては退職届を出すシステムにしている会社がほとんどなのは確かです。
しかし、法律的には退職届を提出しなければ会社を辞めることはできないと書かれているわけではありません。
民法によると退職の意思を伝えることさえできていれば大丈夫で、書面にして対面で渡す必要はないのです。
ただ、退職代行を利用しなかった場合には退職届を出さないとなかなか手続きを進めてもらえないのが一般的になっています。
事務フローとして退職届の提出を受けてから進めていくという形が整っている現場が多いことに加え、簡単に辞めて欲しくないので上司が交渉する機会を設けようという意図があるからです。
退職届があるとトラブルを回避できる
退職届を提出しなくても退職代行を利用すれば退職の手続きを進めてもらうことができます。
法律では提出を義務付けられていないということを主張して交渉してくれるからです。
しかし、退職届は出しておくに越したことはありません。
退職届は書面として残るので証拠書類として活用できるからです。
法律的には退職の意思を示してから14日が過ぎれば退職できるのが原則になっています。
そのため、退職したいということを退職代行に伝えてもらってから14日が経過するまでには手続きが終わり、必要な書類を受け取って次の職場に行けるようになるというのが基本です。
もしそれに誠実に応じてくれなかった場合に、退職届があればこの日に確かに退職するという意思を示したと主張することができます。
場合によっては、裁判に持ち込むことすらできる証拠書類になるので、書いて提出しておいた方が安心です。
万が一、破棄されてしまうようなことがあったときのために自分と代行業者で一部ずつコピーを持っておきましょう。
持参しなくても大丈夫
退職届を提出しておいた方が良いだろうということはわかっても、会社に行くのも上司に会うのも嫌だという人もいるでしょう。
確かに一般的には上司に対面で退職届を渡していますが、このような渡し方も法律で定められているわけではなく、あくまで現場での慣習です。
自分で持参して渡さなくても大丈夫なので安心しておきましょう。
簡単な方法は退職届を書いたら郵便で会社の上司宛に送る方法です。
中身が見えない封筒に入れておけば事務の人などにもその時点で気づかれてしまうこともありません。
内容証明郵便で送れば届いたことも確認できるので安心です。
また、FAXで送っても構いませんが、届いたかどうかの確認が難しく、上司ではなく同僚がまず受け取るという形になるので周囲に先に知られることになるという点には注意しましょう。
メールへの添付では削除されてしまうリスクがあるため、書面で送るのが無難です。
もしこのような手続きをするのが大変だと感じられるのなら、退職代行の担当者に伝えて適切な方法で提出してもらいましょう。
退職代行利用時の退職届の書き方(例)
退職代行利用時に退職届を出す場合には、何か特殊な書き方をした方が良いのかと疑問に思う人もいるでしょう。
直接手渡すのと違って色々なことを伝えたいと思う場合もあるはずです。
例えば、有給休暇を消化してから退職できるように手続きを進めたい、私物をデスクに残してしまっているから何とかして回収したいなどといったケースが考えられます。
このようなときに退職届はどのようにして書いたら良いのでしょうか。
一般的な例を紹介するので参考にしてみましょう。


退職届のフォーマットは定まっていない
まず、前提として理解しておきたいのが退職届のフォーマットです。
ほとんどの会社では退職届のフォーマットを用意していないので、自分なりの書き方をすれば基本的には問題ありません。
退職代行を利用しているケースでも、一般的なフォーマットに従って書いて提出すれば証拠書類として機能するので心配ないでしょう。
特に会社に伝えることがないという場合にはわずか一文の退職届で大丈夫です。
本文は「この度、一身上の都合により、令和xx年xx月xx日をもって退職いたします。」というだけで構いません。
その他に記載する事項を順を追って確認しておきましょう。
縦書きの場合を例に取ると、まずは右端の中央やや上気味に「退職届」と書きます。
そして、その次の行の一番下に私儀と記載し、その次の行から本文を書くのが基本です。
そして、本文が終わったら次の行に退職届を提出する年月日を書き、その左下に自分の所属と氏名を書いて押印します。
最後に会社の代表取締役社長の肩書きと名前を左端に記入すれば完成です。
有給休暇を取得後に退職するときの例
退職前に有給休暇を消化してしまいたいという場合もあるでしょう。
このように何か伝えることがある場合にはフォーマットは崩さずに、本文に付け加えて退職届を作れば大丈夫です。
有給休暇を取得したいときの例文として次のようなものが挙げられます。
「このたび、一身上の都合により、2019年12月19日をもって退職いたします。
つきましては2019年12月1日から2019年12月18日までの有給休暇の取得を申請します。
なお、有給休暇の残余日数が不足している場合には2019年12月1日から有給休暇を全て取得した日付を退職日とします。」
この際に、さらに次のように記載しておくことも可能です。
「なお、有給休暇中の給与のお支払いをいただけなかったときには監督官庁などに相談します。」
これによって退職するなら有給休暇は与えないなどといった強硬な発言をされることを避けられます。
ただ、心象を悪くしてしまうリスクもあるので記載するかどうかはよく考えて決めましょう。
退職に際して何か依頼をするときの例
退職するときに何か依頼をしたいことがある場合には退職代行の担当者に言えば会社に伝えてもらうことが可能です。
ただ、その依頼をきちんと遂行してもらうためには証拠書類を残しておくに越したことはありません。
退職届は会社に提出する重要な書類なので、ここに記載されている事項は依頼した証拠になります。
有給休暇だけでなく、他の場合にも記載しておくのが大切です。
例えば、デスクに残してきた私物を送って欲しい場合には次のように記載します。
「このたび、私は令和元年12月11日をもちまして貴社を退職することにしましたので申し出ます。
つきましては、業務に使用しておりました私物の送付をお願いします。
別紙に記載されている品について下記の住所に退職日までにお送り下さい。何卒よろしくお願い申し上げます。」
このように本文を記載し、別紙に送って欲しい品物と個数のリストを作って一緒に提出すれば大丈夫です。
会社で処分して欲しい場合にはその旨を別紙に記載しておけば対応してくれるでしょう。